脳卒中片麻痺患者の側臥位と半側臥位からの起き上がりにおける難易比較
説明
【目的】脳卒中片麻痺患者の起き上がりパターンのうち側臥位からの起き上がりパターン(一旦側臥位になってから坐位に至る)と半側臥位からの起き上がりパターン(側臥位を経ず坐位に至る)では、どちらが起き上がり易いかを比較検討する.<BR>【方法】<対象>側臥位もしくは半側臥位での起き上がり可能な片麻痺患者27名.そのうち、通常半側臥位パターンで起き上がっている者11名(麻痺側;左:7 右:4、性;男:7 女:4、年齢;65.0±8.5歳、発症からの月数;22.8±15.7ケ月)を半側臥位群、側臥位で起き上がっている者16名(麻痺側;左:8 右:8、性;男:9 女:7、年齢;67.5±14.5歳、発症からの月数;22.5±31.4ケ月)を側臥位群とした.<方法>通常起き上がっている動作パターンで、半側臥位群と側臥位群に分け、相手動作すなわち、半側臥位群には側臥位、側臥位群には半側臥位パターンでの起き上がりを行わせその可否を判定した.マットプラットホーム上背臥位から側臥位及び半側臥位での2種類の起き上がりを施行(ベッド縁は掴まない).原則3回の動作を繰り返し、3回のうち1回でもできれば可とした.半側臥位からの起き上がりは、側臥位になる前に非麻痺側肩関節が、マットプラットホーム床面から離床した場合とした.事前に、起き上がりパターンについて口頭説明およびデモンストレーションを提示した.側臥位群と半側臥位群の相手動作パターンでの可否についてのクロス集計表を作成し、χ2独立性の検定を施行.半側臥位群、側臥位群の属性の比較は、麻痺側、性については、χ2独立性の検定を、年齢、発症からの月数に関しては独立2群の差の検定を施行した.いずれも、有意水準を5%未満とした.<BR>【結果】2群間の属性に関しては、統計的有意差はなかった.半側臥位群で相手動作が可能な者:10名、不可能な者:1名.側臥位群で相手動作が可能な者:4名、不可能な者:12名.有意な偏りが認められた(p<0.01).<BR>【考察】諸家の報告によると一般的に脳卒中片麻痺患者の背臥位からの起き上がりに関しては、長坐位へダイレクトに起き上がる方法、半側臥位から起き上がる方法、側臥位を経て起き上がる方法の順に腹筋活動が弱くなるとしている.逆に言えば、腹筋活動が弱い者は側臥位からの起き上がりでしか起き上がりができなくなる可能性がある.今回の結果は、その可能性を示唆しているように思われる.<BR>【まとめ】側臥位もしくは半側臥位での起き上がり可能な片麻痺患者27名を通常起き上がっているパターンで半側臥位群と側臥位群の2群に分け、相手起き上がり動作パターンで起き上がりを行わせ、その可否を比較検討した.その結果、側臥位群は、半側臥位群に比べ相手動作が不可能な者が有意に多く、半側臥位よりも行い易い起き上がり動作パターンであることが示唆された.
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2008 (0), B3P1309-B3P1309, 2009
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205566209280
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- NII論文ID
- 130004580415
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可