体位変換(臥位,立位)に伴うchest wall機能変化と呼吸法

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説明

【はじめに】<BR>姿勢変化は、臓器に対する重力作用方向が変化するため様々に機能に影響する。呼吸器もまた同様に重力の影響を受け体位の変化によって呼吸機能が変化する。呼吸運動は姿勢の影響を受ける。これら体位による呼吸への影響を知ることは、呼吸理学療法を進める上でも重要な事と考える。呼吸理学療法場面でも患者の離床を進めるにあたり臥位姿勢から立位姿勢へと移っていくことが多い、また呼吸法の指導を行う場面では臥位で行いやすい呼吸様式も立位では持続困難なことが経験され体位の影響を受ける。我々は、呼吸運動に対する体位により換気メカニクスは異なる、chest wallメカニクスに対する体位の影響を知ることは重要なことであると考え今回検討することとした。<BR>【方法】<BR>健常成人を対象にしてティルトテーブルを利用して臥位から立位まで同一姿勢まま角度(0°~90°)を変化させた。この間、ニューモタコメーターにて一回換気量・気流量を測定した。同様に胸部および腹部に装着したインダクタンスプレスチモグラフ(レスピトレース○R サニタ商事)による胸・腹壁の動きからiso volume法にて補正後、ribcage volume.(Vrc)abdominal volume(Vab)Chest wall volume(Vcw)を測定し、Konno-Meadダイアグラムを用いて解析を行った。呼吸法は安静換気、胸壁優位呼吸法、腹壁優位呼吸法を行なった。<BR>【結果】<BR>ティルトテーブルを用いて臥位から立位へと体位を変化させた。体位の角度変化で一回換気量は、45°付近で低値をとり、90°増加する傾向が認められた。呼吸パターンは、臥位では腹壁優位の呼吸パターンが、立位への体位の角度変化で胸壁優位の呼吸パターンへと変化し、45°位付近から大きく変化した。FRCは30°から吸気位に変化した。FRCレベルは、Vrcは体位で大きな変化はなかったが、Vabは臥位から立位への姿勢変化で吸気方向へ大きくシフトした。<BR>【考察】<BR>体位の変化に伴う重力作用方向の変化とともに換気量・呼吸パターンに変化が認められた。これらは横隔膜機能と、chest wall configurationに対する腹腔内臓器の影響は大きく、しかもこの腹部臓器は重力の影響を受けるため体位による換気機能の違いとなって表れたものと思われた。横隔膜による腹壁の可動性は臥位に比し立位では小さくなり、これが立位での、いわゆる横隔膜呼吸(腹式呼吸)困難の一因であることが推察された。こうした各体位や姿勢による影響は、理学療法施行に当たって考慮する必要があり、体位の特性を知り、呼吸理学療法を実施することが必要であると思われた。<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), D0786-D0786, 2008

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

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