脳卒中患者におけるTUG測定の快適速度と最大速度の検討
Description
【はじめに】<BR> Timed Up and Go test(TUG)は、Podsiadlo et al.(1991)が提唱し、体力指標として多くの報告がされ、簡便さもあり実際に多く利用されている.TUGの測定方法として、提唱者の原著では快適速度を利用しているが、測定時の心理状態や教示の解釈の違いによる結果の変動を排除する目的として最大速度を利用しての報告が多くなってきている.そこで今回、回復期リハビリテーションを目的とした脳卒中患者を対象に、TUGにおける快適速度と最大速度の両課題を実施し、若干の知見を得たので発表する.<BR>【対象者および方法】<BR> 歩行可能な脳卒中患者28名(平均年齢は64歳[24歳―89歳]、性別は男性15名・女性13名、診断名は脳梗塞16名・脳出血11名・くも膜下出血1名、障害名は右片麻痺17名・左片麻痺7名・両片麻痺1名・麻痺無し3名)を対象とし、対象者には検査の内容を説明し同意を得てから実施した.<BR> TUGは快適速度と最大速度を同日に、快適速度と最大速度を対象者毎ランダムに3回ずつ測定した.得られた結果から記述統計量を求め、TUGの測定条件である快適速度と最大速度で、各個人毎に3試行での変動係数(CV)を算出し、また各測定条件における3回測定の再検査信頼性の級内相関係数ICC(1,3)を求めた.測定条件間の関連を調べるためPearsonの相関係数を求めた.<BR>【結果および考察】<BR> 回復期リハビリテーションを目的とした脳卒中患者を対象としたTUGの測定結果は、快適速度で平均16.41±12.04秒(最大値61.7秒、最小値6.6秒)、最大速度で平均14.66±11.82秒(最大値62.2秒、最小値6.6秒)だった.各々の測定結果を個人毎にCVをみてみると、快適速度では平均7.46±2.97(最大値14.29、最小値3.67)であり、最大速度では平均7.35±2.70(最大値14.45、最小値4.11)という結果となった.快適速度・最大速度のCVの結果で対応のあるt検定を行ったが、差はみられなかった.28名中16名が最大速度で快適速度に比べCV値が高く、今回対象とした回復段階にある者は、必ずしも最大速度での測定が結果の変動を排除することにつながらなかった.TUGの再現性の検討では、快適速度でICC=0.996・最大速度でICC=0.996とともに再現性が高いことがわかり、両測定条件での再現性の面でも差はないことがわかった.<BR> TUGの速度条件である快適速度と最大速度の測定値の平均は、回帰直線y=1.008x+1.634(y:最大速度でのTUG値、x;快適速度でのTUG値、n=28, r=0.989)が成立した.この結果から、この回帰式を持ちいることにより、どちらか一方の速度条件で測定すれば、もう一方の速度条件での測定値が推定可能である.
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2008 (0), B3P1324-B3P1324, 2009
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205566252288
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- NII Article ID
- 130004580430
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed