慢性閉塞性肺疾患患者のpeak cough flowとカフアシストの呼気圧の違いによる検討
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説明
【目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の急性増悪時,効果的な排痰を実施することは重要である.その中で有効的な咳嗽ができないCOPD患者は数多くいる.我々は神経筋疾患の排痰に効果的な方法であるMechanical In-Exsufflation のカフアシストをCOPD患者の咳の介助として用いている.しかし,カフアシストの呼気圧(陰圧)をどの程度増加させれば,COPD患者の咳を有効的に介助できるかは分からない.本研究では,咳の指標である咳の最大呼気流速(peak cough flow: PCF)を用いて,カフアシストの呼気圧の違いによるCOPD患者のPCFの変化と,気道閉塞の程度とカフアシストによるPCFの変化量に関係があるかを検討した.<BR>【方法】対象は,研究の参加に同意を得た安定期のCOPD患者29例である.対象の内訳は,男性29例,年齢72.0±6.6歳,%肺活量は90.0±23.2 %,一秒率34.0±6.2 %,一秒量は0.88±0.27 Lであった.対象にカフアシストを用いずに,PCFを3回測定し,次にカフアシストを併用して測定した.カフアシストの呼気圧を陰圧で-20 cmH2O,-30 cmH2O,-40 cmH2Oをそれぞれ3回ずつ,無作為な順番で行った.3回の測定値の最大値を採用した.吸気時はカフアシストによる陽圧は負荷しなかった.それぞれのPCFを比較し,一秒量とカフアシストによるPCFの変化量と相関関係を検討した.<BR>【結果】PCFは,カフアシストを用いない場合では155.7±58.6 L/分で,-20 cmH2Oでは,165.9±41.3 L/分,-30 cmH2Oでは,192.0±51.1 L/分で,-40 cmH2Oでは,194.8±52.8 L/分であった.カフアシストを用いないPCFと比べて,-20 cmH2OのPCFでは差を認めず,-30 cmH2Oと-40 cmH2OのPCFは差を認めた(p<0.05).カフアシストを用いないPCFに対する,-20 cmH2Oと-30 cmH2O,-40 cmH2OのPCFの変化量と一秒量との間には,各圧で負の相関関係を認めた.<BR>【まとめ】COPD患者のPCFに対するカフアシストは,-30 cmH2O以上で有意に増量し,一秒量が低い者ほど,増加量が大きかった.COPD患者のPCFを増加させるためには,カフアシストの呼気圧を-30 cmH2O以上の陰圧は必要かもしれない.<BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2007 (0), D0370-D0370, 2008
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205566363648
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- NII論文ID
- 110006799927
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- NII書誌ID
- AN10146032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可