高齢者における車椅子シーティングの効果検証
書誌事項
- タイトル別名
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- 車椅子坐位姿勢に着目して
説明
【はじめに】<BR>シーティングの目的は、廣瀬・木之瀬らによると適切な坐位姿勢の確保により、身体の変形や褥瘡を予防し自立的な生活へ導くこと、また身体拘束を無くすことなどが挙げられ、その効果も数多く示されている。しかし、坐位姿勢の改善については統計学的な裏付けのある効果報告は殆んど無い。<BR>当院介護療養型病棟において、2006年3月よりリハビリスタッフ主導で病棟スタッフと共に車椅子使用者全員に対してシーティングクリニック(以下SCと略す)を実施し、その際車椅子坐位姿勢評価を点数形式で行っている。今回、そのデータを基に車椅子坐位姿勢に対するシーティングの効果について検証したので報告する。<BR>【対象と方法】<BR>1)対象:2006年3月から2006年9月までにSCを行った37名のうち、シーティングの改善が必要なかった者と途中退院等で評価ができなかった者を除いた28名で、平均年齢82.0±10.6歳、男性7名女性21名、平均要介護度3.9±1.1、入院からSCまでの平均期間404.3±370.8日、障害別延べ人数は片麻痺18名・円背側弯13名・廃用症候群7名・パーキンソン病2名・大腿骨頚部骨折2名、木之瀬らによる坐位能力分類では坐位に問題なし3名・坐位に問題あり19名・坐位がとれない6名であった。<BR>2)方法:SC前・後日の1時間車椅子坐位保持における開始時および1時間後坐位姿勢点数についてWilcoxonの符号付順位検定を用い比較した。<BR>なお車椅子坐位姿勢評価は頭頚部・肩甲帯・体幹・骨盤・股関節・膝関節・足関節を3次元的に観察し、23項目において90度ルールに則った指標となる椅子坐位姿勢となっていない項目に1点を付けその合計点数を出した(23点満点で、点数が低いほど良姿勢)。<BR>【結果】<BR>開始時姿勢においてSC前9.1±2.8点、SC後6.1±2.3点、1時間後姿勢においてSC前10.4±4.2点、SC後7.0±2.8点となりシーティングにより有意に車椅子坐位姿勢が改善した(p<0.01)。<BR>【考察】<BR>当SCのまず目指すものは、「シーティングの基本を理解し、身近な物品の使用だけでも指標となる椅子坐位姿勢に近付ける」であり、今回の調査でシーティングによる車椅子座位姿勢改善の効果が明らかとなった。車椅子使用者の多くが座り初めから骨盤後傾・体幹後弯後傾の姿勢であり、スタッフの座らせ方の問題と車椅子の殆んどが使用者にとって大き過ぎたのが原因と判断し対策をとったことが今回の結果につながったと考える。しかし、姿勢改善が十分であったかは明らかでなく、さらなる研鑽を積み不良姿勢の減点化を目指していきたい。また、シーティングの最終目的である「自立的な生活」に我々の活動が役立っているのかについても評価検討していきたい。<BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2006 (0), E1022-E1022, 2007
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205566371456
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- NII論文ID
- 130005014392
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可