当院における膠芽腫患者の入院回数と全身状態を含めた転帰時の現状

Description

【目的】<BR>当院における悪性腫瘍は入院リハビリテーション(以下リハビリ)の主要な対象疾患の1つであり、近年、ますます依頼が増える傾向にある.今回、当院における脳腫瘍患者、特にWHO国際組織分類による悪性度分類で最も悪性度の高いgrade4である膠芽腫(glioblastoma)患者の入院回数と全身状態を含めた転帰時の現状を調査・報告する.なお、個人情報は入院時に説明・同意を得ている範囲で個人を特定できないことを了承の上、ここに報告する.<BR>【方法】<BR>対象は2007年4月から2008年6月までに当院脳神経外科に入院しリハビリ依頼のあった膠芽腫の病理診断された成人患者21名(性別:男性14名、女性7名)、入院回数は初回入院13名、再入院8名(2回目7名、3回目1名)、平均年齢60.68歳(±10.0).入院期間中、外科的治療として18名が腫瘍摘出術、3名が生検術を実施.後療法として全症例で放射線治療実施.全身状態を示す指標としてperformance status(以下PS)を用いてリハビリ開始時と転帰時を評価.<BR>【結果】<BR>初回入院群13名で自宅退院6名中、維持5名(PS1:4名、PS2:1名)、低下1名(PS2→PS3).転院7名中、維持5名(PS2:2名、PS3:2名、PS4:1名)、低下2名(PS2→PS4、PS3→PS4).再入院群8名で自宅退院2名(PS1、PS2)と転院3名(PS3)はそれぞれ維持.そして死亡3名(PS3:2名、PS4:1名)であった.<BR>【考察】<BR>今回の調査から入院回数にかかわらずリハビリ開始時PS1、2では比較的自宅退院していることから転帰時には開始時PSが関係していることが示唆される.転帰時PS2で自宅退院と転院の違いがみられる.これは認知・高次機能の違いにより家族や周囲の支援体制により受け入れに差が生じたためと推察する.このことから支援体制に依存するが初回、再入院に関わらずPS2に維持できれば自宅退院の可能性は高いことが示唆された.また、再入院群では、PS3の状態であっても突然の死を想定しプログラムを検討する必要性を感じた.<BR>【まとめ】<BR>膠芽腫は悪性度が高いため再発や腫瘍の増大に伴い、また、病状に応じて臨機応変な対応が望まれる.今回我々の調査では、対応のための検討項目として、「初回入院」か「再入院」か、また「全身の状態(PS)」を勘案することが、限られた生命予後の中でより適切なリハビリプログラムを設定できる可能性を示した.悪性腫瘍のリハビリとはいえ、全てが緩和的なのではなく、状況に応じては積極的リハビリが展開される可能性も併せて示されたのではないかと考える.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205566385152
  • NII Article ID
    130004580467
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.b3p2272.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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