女性理学療法士が結婚・出産・育児を経て就労継続するために必要な因子について

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抄録

【目的】理学療法士の需要と供給が高まる中、女性の占める割合も徐々に増加し1998年には約42%だった女性会員の数は、2007年には45%となっている.このような状況の中、金森ら(2003)により『多くの女性理学療法士が出産後も勤務継続を希望している』との報告がなされているが、女性理学療法士が就労を継続するために必要な要因を明らかにした報告は未だ少ない.本研究の目的は、女性理学療法士が結婚、出産、育児をこなしながら就労継続するための要因を明らかにし、働き方や就労先を選択する際の一助とすることにある.<BR>【方法】対象:青森県内で就労している女性理学療法士.方法:1)施設または個人に対し自記式無記名のアンケートの依頼を行い、了承を得られた対象施設、対象者にアンケートを配付した.2)アンケートは紙面上にて、結婚、出産、育児のいずれも経験したことのない群(以下「未経験群」とする)と、いずれかを経験したことのある群(以下「経験群」とする)を選択してもらい、回答してもらった.3)経験群に対しては、アンケート末尾でインタビューの依頼を行い、了承した対象者には後日連絡用にアンケート紙へ連絡先を記入してもらった.4)インタビューは半構成的面接とし、研究者と1対1で実施した.なお倫理的配慮については、研究の趣旨および倫理的説明を口頭および紙面上で行い、承諾書を得た.また研究途中もしくは終了後の参加辞退については自由とし、それによるなんら不利益を被らないことも、研究発表についても研究協力者の個人的情報が特定できないように配慮し、研究終了後は速やかに情報を破棄することを確約した.<BR>【結果】職場の決定に際し、結婚、出産、育児を想定して選んでいる回答者は、これらの経験に関わらず1割に満たなかった.また未経験群では「結婚、育児、出産を経てもPTとしての就労を継続したいか」との問いに7割以上が「継続したい」と答え、その全てが「現職場での勤務継続を希望する」と回答していた.一方、経験群では全ての回答者が、これらを経験する前後で勤務先を変更していないことが分かった.次に経験群への「就労困難感」に関する問いでは、全ての回答者が「結婚だけでは就労継続に問題は生じない」と回答していた.しかし結婚のみを経験している回答者からは「家事の負担は独身の頃に比べると確実に増えており、時間外業務を行うことが少なくなった」との回答があった.またそれにより自分の指導内容について物足りなさを感じていた.更に経験群では「結婚、出産、育児を経ても就労継続するために必要だと思うこと」として1)人数、性別、年代など、スタッフの幅がひろいこと2)身近に家事や育児への協力者がいること3)配偶者、家族の理解や協力があること4)同僚の理解や協力があることなどがあげられた.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), G3P1581-G3P1581, 2009

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205566407808
  • NII論文ID
    130004581490
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.g3p1581.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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