当院におけるPT部門新人教育体制の現状と課題

説明

【目的】現在、地域や職域を問わず理学療法士(以下PT)の若年化が進んでいることは周知の通りである.当院も例外ではなく75名のPTの内、経験年数3年以下のスタッフが約半数を占めている.卒業直後における理学療法実施レベルの意識調査において、教員以外のPTで独立して基本的な理学療法が実施できると答えたのはわずか6.3%であったという報告(理学療法白書2005)もあり、卒後研修システムの構築に積極的に取り組む必要があると指摘されている.PTの急激な増加・若年化、新人教育プログラムの未成熟、職場外研修の不足により、職場内での卒後教育の重要性がより高まっていると思われる.そこで今回、新人教育の一助としたく新人目標達成度調査を実施したので報告する.<BR>【対象と方法】2007年4月、当院に入職した新人PT17名と所属病棟の上司PT8名.新人目標達成度を、治療の流れ(7項目)、専門技術(15項目)、退院準備(3項目)、ケア(3項目)、社会人適性(7項目)の計35項目に分類し、前期(8月)、中期(11月)、後期(2月)に新人による自己評価と上司による評価を実施した.評価基準は5段階評価とし、1:まったくもしくはほとんどできておらず非常に問題がある、2:できていないものが多くやや問題がある、3:できているものとできていないものがある、半分程度できている、4:ほぼできているが不十分な点が若干ある、5:できている、とした.未実施は除外し、項目別・時期別に分けて調査した.<BR>【結果】前期の治療の流れでは、予後予測・問題点抽出で、専門技術ではシーティング・装具選定・維持期へのアプローチで、退院準備では福祉用具・家屋改修・サービス調整で低値を示した.また、ケアではケア場面での問題点抽出で、社会人適性では、情報伝達能力でそれぞれ低値を示した.一方高値を示した項目は、専門技術では関節可動域・筋力強化・起居動作・基本動作・神経筋再教育・リスク管理、ケアではケア技術や手際・リハの視点での関わりであった.調査時期による低値項目、高値項目に著変は認められなかった.また、新人と上司間で評価の乖離は認めず、新人のウィークポイントを上司と共有している結果となった.<BR>【考察】予後予測や問題点抽出、シーティングや装具選定、退院準備では卒前教育から応用的視点が重要となり、On The Job Training(以下OJT)、客観的臨床試験(以下OSCE)、職場内研修会の開催、職場外研修会への参加などの検討が必要と考える.また、ケア場面の問題点抽出や情報伝達は、カンファレンス・他職種との情報交換など明確に無駄なく情報を伝達することの難しさを実感しているのではないかと推測された.<BR>【まとめ】調査から新人PTのウィークポイントが明らかになった.また、新人のウィークポイントは上司と共有が図れており、OJT、OSCEや職場内研修の方向性が示唆された.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), G3P3578-G3P3578, 2009

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205566455808
  • NII論文ID
    130004581553
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.g3p3578.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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