片脚大腿四頭筋等尺性収縮時の血圧変動

書誌事項

タイトル別名
  • ―心拍出量と活動体肢血液流量応答―

説明

【目的】<BR>等尺性収縮などの静的な運動は、筋の収縮張力に比例して活動筋の筋血液流量は高まるが、ある閾値を越えると逆に筋内圧が高まり、血圧がさらに増加する.そのため、高血圧症症例や心疾患症例に対して、筋力テストや筋力トレーニングなどを行う場合、適切なリスク管理が必要とされている.そこで、今回、大腿四頭筋に対して等尺性収縮を行い、活動筋量の増加に伴って血圧、心拍出量、活動筋血液流量がどのような関連を持って変化するかを検討することを目的とした.<BR><BR>【方法】<BR>対象は、ヘルシンキ宣言に基づいて本研究に同意した運動習慣のない年齢21~22歳の男性9名とした.方法は、安静端座位、膝関節屈曲45度位において大腿四頭筋の最大伸展筋力(MVC)を決定した.負荷強度設定は、10、30、50%MVCをランダムにそれぞれの被験者に施行し、大腿四頭筋に対して等尺性収縮を行った.実験手順は、検査中の呼吸数を一定数に保持し、3分安静後、1分間等尺性収縮(1回目)、10分間休憩、1分間等尺性収縮(2回目)、10分間休憩、1分間等尺性収縮(3回目)の順序で行った.測定項目は、収縮期血圧、拡張期血圧、心拍出量、1回拍出量、心拍数をPORTAPRES(FMS社)で測定し、近赤外分光法で外側広筋の筋血流量(Total Hb)をそれぞれ同時に連続測定した.解析方法は、安静時の数値を基準として、収縮期血圧が最大変化した時点の拡張期血圧、心拍出量、1回拍出量、心拍数、筋血液流量の変化量を検討した.負荷強度間の比較は一元配置分散分析を用いてp<.05を統計的有意差ありとした.<BR>【結果】<BR>心拍数と筋血液流量は10%MVCと比較して 50%MVCで有意に増加した.それ以外の項目は統計的有意差を認めなかった.しかし、最高収縮期血圧への到達時間や収縮期血圧が最大変化した時点での各測定項目の変化幅は、個人間で大きかった.<BR>【考察】<BR>血圧の決定要因は、心拍出量(1回拍出量×心拍数)や末梢血管抵抗によって決定される.心拍出量は心臓の収縮性、前、後負荷が関与しており、これらの因子も交感神経、筋ポンプ機能など様々の因子によって決定される.さらに、活動筋の血液量は、収縮強度や個人の血流阻止閾値、筋交感神経活動などによって決定される.通常運動強度の増加に伴い血圧は上昇するが、今回はその傾向を認めなかった.これはTotalHbの増加は筋の鬱血を示唆しており、それによって静脈還流量が低下していることが関与しているのではないかと思われる.このように最終的な血圧を決定は、様々な機能的要因によって決定されるため、血圧を筋力テスト、有酸素運動、筋力トレーニングのリスク管理の基準とする場合、各個人間の各因子をモニタリングする必要性が示唆される.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), A3P2131-A3P2131, 2009

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205566479616
  • NII論文ID
    130004580157
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.a3p2131.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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