骨量減少モデルラットにおける骨微細構造の変化

説明

【目的】骨粗鬆症は骨量の減少と骨組織の微細構造の変化が特徴的な疾患であり、女性の閉経後に起こるエストロゲン枯渇は代表的な骨粗鬆症の原因の一つである.エストロゲン枯渇による骨粗鬆症の骨質変化を検討するため卵巣摘出(OVX)ラットは骨量減少モデルラットとして頻繁に使用されている.そして、骨微細構造は骨質を規定する代表的な因子と言われている.そこで、本研究はOVXラットを用いて骨微細構造の変化を調べることを目的とした.<BR>【方法】対象は8週齢、雌性Wistarラット12匹とした.対象を無作為に2群(6匹/群)に分け、それぞれにSHAM術とOVX術を施行した.術後9週の時点で全てのラットから脛骨を取り出し、microCTにて脛骨近位端を撮影し、三次元画像解析ソフトにて海綿骨骨微細構造の解析を行った.骨梁構造パラメータとして骨組織体積(TV)、海綿骨体積(BV)、骨密度(BV/TV)、骨梁幅(Tb.Th)、骨梁数(Tb.N)、骨梁間隙(Tb.Sp)、骨梁中心距離(Tb.Spac)、骨連結度(Conn.D)、骨形状指標(SMI)、骨粗鬆化指標として骨髄腔平均体積(V*m.Space)、骨梁平均体積(V*tr)を算出した.OVXの骨梁構造パラメータに対する影響を調べるため、スチューデントのt検定を用いた.P<0.05で有意差ありとした.なお、本実験は、畿央大学動物実験施設倫理委員会の承認を得て行った.<BR>【結果】BVおよびBV/TVではOVX群はSHAM群より有意に低値を示した.Tb.ThおよびTb.NではOVX群はSHAM群より有意に低値を示し、Th.SpおよびTh.spaceではOVX群はSHAM群より有意に高値を示した.SMIではOVX群はSHAM群より有意に高値を示した.V*m.spaceではOVX群はSHAM群より有意に高値を示し、V*m.trではOVX群はSHAM群より有意に低値を示した.Conn.DではOVX群はSHAM群より有意に低値を示した.<BR>【考察】BVおよびBV/TVにおいてOVX群はSHAM群より有意に低値を示したことから、OVX群は海綿骨体積の減少により、骨密度が減少したことが示された.海綿骨体積の減少は海綿骨の骨梁幅、骨梁数および骨連結性が減少したためと考えられる.さらに骨形状指標においてSMIよりOVX群の海綿骨骨梁はplate状からrod状への変化が認められた.これらより、骨梁間距離および骨梁中心間距離が増加したと考えられる.そして、骨粗鬆症化指標においてV*m.spaceが有意に低値を示し、V*trが有意に高値を示したことからもOVX群に骨粗鬆症化が認められた.<BR>【まとめ】OVX群では脛骨近位端海綿骨の骨梁数、幅および骨連結性の減少を示し、骨形状をrod状にさせることで骨密度の減少を引き起こすことが示された.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), A3P3123-A3P3123, 2009

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205566492672
  • NII論文ID
    130004580313
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.a3p3123.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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