当センターにおける二分脊椎外来の取り組みと今後の課題

DOI
  • 近藤 直樹
    北九州市立総合療育センター訓練科理学療法係
  • 相良 研
    北九州市立総合療育センター訓練科理学療法係
  • 松尾 圭介
    北九州市立総合療育センター整形外科

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抄録

【はじめに】当センターでは2002年4月に二分脊椎(SB)外来を開設した.当外来は診療部門とリハビリテーション(リハ)部門を同日に併用受診可能にし,受診者の負担の軽減を図っている.また,診療部門とリハ部門による合同診察の場としてSBクリニックを2004年4月より併設した.今回,当外来の取り組みの紹介と今後の課題について報告する.<BR>【内容】SB外来(2回/月開催)では,椎弓の癒合障害,脊髄形成不全,水頭症などに起因する神経機能障害(下肢麻痺や膀胱直腸障害など)に対して,診療部門の泌尿器科,整形外科,看護師および必要時に小児科が関わっている.また,神経機能障害の結果起こりうる移動・排泄・認知面などの諸問題に対して,リハ部門の理学療法士,作業療法士を主に,必要時に言語聴覚士,心理士が関わっている.更に,当センターでは,脳神経外科,小児外科を有していないため,近隣の医療機関と連携をとり,包括的フォローアップの確立を目指している.2002年度から過去5年間の受診者数は述べ264例であった.年代別内訳は,乳幼児89例(34%),小学生67例(25%),中高生22例(8%),成人86例(33%)であり,中高生の受診の割合が低かった.診療およびリハ部門との併用受診者数は176例で全体の67%であった.そのうち,年代別でのリハ部門の併用受診者数は,乳幼児83例(93%),小学生58例(87%),中高生20例(91%),成人15例(17%)であり,成人では診療部門のみの受診が多くみられた.<BR> SBクリニック(1回/月開催)の目的は,様々な問題を有する二分脊椎にとって各科の連携は不可欠なため,合同診察を行うことでスタッフ間および患者・家族と情報を共有することと今後の方針を明確にすることである.2004年度からの過去3年間での受診者数は述べ24例,受診内容別では,麻痺レベル診断を主とした身体機能評価およびADL評価12例,整形外科手術前評価4例,間歇的自己導尿の獲得を目的とした評価および排便管理における洗腸の評価・指導8例であった,排泄管理については,SBクリニックから入院による集中指導に移行した者もみられた.<BR> その他,患者・家族との連携については,通常の外来受診時での情報交換と併せて,日本二分脊椎症協会北九州支部(親の会)と連携し,医療講演の開催や親の会主催の行事に参加することで意見交換のできる環境づくりにも取り組んでいる.<BR>【今後の課題およびまとめ】SB外来およびSBクリニックは,二分脊椎を中心とした脊髄性疾患を包括的にフォローアップすることを目的として開設された.乳幼児から小学生に対する体制は整備されてきたが,中高生および成人に対しては、受診者の割合からみて現体制では不十分であることが言える.よって,今後は長期にフォローアップしていくためのシステムづくりが必要である.また,患者・家族および親の会からの要望に対応していくためにも,より積極的に連携のとれる環境づくりを視野に入れていく.<BR><BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), C1432-C1432, 2008

    公益社団法人 日本理学療法士協会

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