後期高齢者における運動耐容能の評価法の再考

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  • ―Stand Sit Test(SST)の検討―

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【目的】<BR>簡易に運動耐容能を評価する指標として6分間歩行距離(以下6MD)があり、呼吸器疾患や心臓疾患患者などを対象に広く普及している.しかし、後期高齢者を対象とした運動耐容能の報告は少ない.その理由として、トレッドミルやエルゴメーターなどの機器を用いた運動負荷試験や6MDなどは後期高齢者にとって困難であることが多いためと考えられる.施設によっては機器の導入がないことや、6MDでは歩く距離を確保できないのが現状である.そこで本研究では日常生活でも頻度が多い立ち座り動作に着目し、後期高齢者でもより簡易的に行えるStand Sit Test(SST)を考案し、運動耐容能の指標となりうるかを検討した.また6MDは実際のADLをよりよく反映するといわれているため、BI、FIMとの関連も検討した.<BR>【対象】<BR>当院に入院中の後期高齢者16名(男性8名、女性8名、平均年齢81.6歳±5.1).呼吸器疾患4名、心疾患3名、廃用症候群4名、骨折(肋骨・圧迫)後5名のbed side ADL自立レベルである計16名を対象とした.対象者には研究の目的と方法を説明し、十分な同意と協力を得たうえで実施した.<BR>【方法】<BR>SSTは座面44cmの高さの椅子を使用し1分間で行える立ち座り回数を測定する.なお立ち上がる際は膝に手を当てる、座面を把持することは良いが前方の支持物を引っ張る動作は不可とする.6MDは一周50mの歩行路を使用した.6MDとSSTの関連にはPearsonの相関係数を用い、6MD、SSTとBI、FIMの関連はSpearmanの順位相関係数を用い分析した.<BR>【結果】<BR>6MDとSSTはr=0.735、BIとSSTはρ=0.677、BIとFIMはρ=0.858と強い正の相関が認められた(p<0.01).またBIと6MDはρ=0.617、とかなり相関が認められたが(p<0.05)、FIMと6MDはρ=0.499、FIMとSSTはr=0.386と相関は認められなかった.<BR>【考察】<BR>本研究で考案したSST は後期高齢者をはじめ独歩が困難な方を対象に6MDよりさらに容易に実施が可能である.今回の結果から、SSTは運動耐容能の指標となりうる可能性が示唆された.一方BIは6MD、SST、FIMと相関を示した.BIが6MDとSSTともに相関が得られたことは移動能力等のADLの指標となる可能性があるが、FIMでは6MD、SSTともに相関を示さなかった.今回はSSTを1分間と設定し実施したが、30秒・2分・3分など時間の比較、また若年者を対象とした年齢との関係など検討していく必要があると考える.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205566607744
  • NII Article ID
    130004580082
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.a3p2055.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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