中殿筋トレーニングの頻度による股関節の可動性及び骨盤周囲筋への影響に関する研究
説明
【目的】我々は下肢荷重比率を改善させるための最適な中殿筋トレーニング強度について、その回数の違いから検討を行い、下肢荷重比率はBorg scaleでいう軽度から中等度の負荷回数においては改善を示すものの、高度負荷では悪化することを明らかにした。しかし、この高度負荷にて下肢荷重比率が悪化する要因については十分に検討できていない。そこで今回、高度負荷中殿筋トレーニングが股関節の可動性及び骨盤周囲筋へどのような影響を及ぼすのかについて検討を行った。<BR>【方法】対象は健常成人(男性8名、平均年齢21±0.8歳)を対象とした。中殿筋トレーニングは仰臥位でセラバンドを用いた両股関節同時の等張性外転運動とし、股関節屈曲、伸展、外転、内転、および回旋が0度の肢位から外転角度20度、速度は2秒で1回、実施回数は70回とした。<BR>計測は筋電図および3次元動作解析を行い、それぞれ日本光電社製WEB-5500およびユニメック社製UM-CATを用いた。筋電図での測定筋は両側中殿筋、脊柱起立筋、腹斜筋群とし、3次元動作解析時のマーカーは両上前腸骨棘、肩峰、膝蓋骨中央に貼付した。<BR>筋電位は最大随意収縮に対する割合として算出し、動作解析では股関節外転・内転、屈曲・伸展の可動域を算出した。対象肢は左右ではなく、股関節外転角度の大小によって二群に分類した。データは事前に計測したBorg scaleに応じた股関節外転回数、すなわち、軽度(20回、Borg scale 3)、中等度(35回、Borg scale 5)、高度(70回、Borg scale 10)時点での値、および開始時を加えた条件にて筋ごと、股関節の運動範囲ごとに比較検討した。<BR>【結果】筋電位(単位は%)は股関節外転の可動域の大きい側の中殿筋で、開始時、軽度、中等度、高度の順序で23±8、30.2±18.3、27.8±13.4、31.2±13.7、腹斜筋では26.1±21.7、35.5±30.8、37.7±35.6、48.3±53.7、脊柱起立筋では15.3±6.9、21.8±7、23.4±7.2、27.6±9.3であった。股関節外転の可動域の小さい側の中殿筋は23±19、30.5±24.7、31.2±23.4、37.2±26.9、腹斜筋は17.2±8.8、22.8±11.8、23.9±14.4、31.7±22、脊柱起立筋は13.5±11.7、14.8±12.9、14.3±12.9、17.4±17.3であった。可動域の大きい側の脊柱起立筋の筋電位の開始時と中等度(P<0.05)、開始時と高度(P<0.01)には有意差を認めたが、その他は有意差を認めなかった。股関節の可動域について、外転、内転、屈曲、伸展ともに有意差は見られなかった。<BR>これらのことから中殿筋トレーニングの回数が多くなることで片側脊柱起立筋の活動が高まるといえる。<BR><BR><BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2007 (0), A0453-A0453, 2008
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205566641664
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- NII論文ID
- 130005014786
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可