肩関節周囲炎に対する経皮的末梢神経電気刺激の即時効果

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  • ―刺激部位別による検討―

抄録

【目的】<BR>肩関節周囲炎に対する経皮的末梢神経電気刺激(以下,TENS)使用効果の報告は散見されるが,刺激部位,強度,即時効果などについてはいまだ一定の見解が得られていない.本研究の目的は肩関節周囲炎患者に対するTENSの即時効果について,関節可動域(以下,ROM),疼痛,刺激部位との関連を検証することである.<BR>【対象】<BR>本研究の趣旨を説明し承諾を得た,明らかな外傷歴のない肩関節周囲炎と診断された患者27名27肩(男性11名,女性16名,年齢37~77歳)を対象とした.<BR>【方法】<BR>対象者を刺激部位別に,痛みを有する筋への刺激群(以下,M群),関節列隙への刺激群(以下,JP群),Placebo群(以下,P群)の3グループに無作為に振り分けた.測定はTENS前後の計2回実施し,測定項目は1)ROM(以下,屈曲flx,伸展ext,外転abd,内転add,第一内・外旋First int-r・ext-r,第二内・外旋Second int-r・ext-r), 2)疼痛強度(Visual Analog Scale以下,VAS)とし,平均値±標準偏差を算出した.ROMはゴニオメータ,TENSは伊藤超短波社製Trio300&reg;を使用した.TENSプロトコルはMODmode,周波数50Hz,パルス幅60μs,振幅は電流を自覚する強度,刺激時間15分,刺激姿勢は安静座位,刺激部位は,M群は患者の主訴に基づき疼痛部位へ, JP群は関節列隙へそれぞれ2チャンネル4パッドを貼付し実施した.P群については,電気出力を0とした以外はM群と同様とした.統計学的処理は3グループにおけるTENS前後のROMおよび疼痛強度について,対応のあるt検定を用い,有意水準を5%未満とした.<BR>【結果および考察】<BR>ROMの平均値はM群のflx(9.4±9.6°),abd(12.1±2.6°),First ext-r(6.7±6.7°),Second int-r(3.9±4.6°),JP群のext(10±7.8° p<0.01),First ext-r(6.1±7.0°),Second ext-r(7.8±8.2°),P群のFirst ext-r(10.6±11.4°)において有意に増加した(p<0.05).VASはM群において有意に減少した(0.6±0.7 p<0.05).その他については有意差は認められなかった.この結果から,肩関節周囲炎にて制限されたROMおよび疼痛改善にTENSを用いる場合,痛みを有する筋への刺激が最も即時的な改善傾向が強いと結論付けた.本研究のTENSプロトコルは山本ら,Michelleらの条件を基に作成した.すなわち,肩関節周囲炎に対して効果的であることが示唆された.また,JP群の結果から関節列隙への刺激は肩関節前方関節包や関節包靭帯へ影響を与える可能性が示唆された.筆者らは臨床においてTENSと肩関節自動介助運動を併用し,ROMの改善を図ることが多い.今後の課題として,TENSを運動に併用した場合の効果についても検証していきたい.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), F2S1009-F2S1009, 2009

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205566819328
  • NII論文ID
    130004581436
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.f2s1009.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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