二分脊椎症児における足部変形と身体発育に関する調査

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抄録

【目的】<BR> 二分脊椎症児は,胎生期における神経管の癒合不全に起因した疾病であり,下肢運動麻痺,感覚障害,膀胱直腸障害,下肢変形等を来す.これら二分脊椎症児の生活指導においては,身長に見合った体重を維持していくことが必要である.下肢運動麻痺により筋収縮及び骨への荷重が不足することから低身長を示し,活動量が少ないことから過体重を示す傾向にある.過体重は,歩行能力に影響する因子としてあげられており,さらに変形増悪を来す原因となりうる.<BR> 本研究では,二分脊椎症児の足部変形の有無,体重への配慮(保護者における)に加え,体重及び身長等の身体発育上の諸問題に着目し,理学療法を施行していく上での基礎的知見を得ることを目的に調査を実施した.<BR><BR>【方法】<BR> 調査した二分脊椎症児は,24名(男性13名,女性11名)であり,年齢層は1~17歳(平均年齢6.9歳)である.残存レベルは,Th12~L5レベルであり,全例共に立位,歩行練習が可能であった.<BR> 調査項目は,「患児の足部変形の有無」,「保護者における患児の体重への配慮」に加え,患児の身体発育状況を把握する目的で「体重」および「身長」の実測値とした.<BR> 分析方法は,「患児の足部変形の有無」及び「保護者における患児の体重への配慮」については,単純集計結果を示すとともに,患児の身体発育状況については,先行研究の結果(立花らによる健常児の2000年度標準身長・体重表)と比較検討した.<BR><BR>【結果】<BR> 患児体重への配慮については,不十分である事が保護者の58%(14名)にあった.また,足部変形の有無については,何らかの足部変形が92%(22名)に生じていた.<BR> 身体発育状況については,体重では過体重21%(5名),低体重35%(6名)であった.また,身長では高身長4%(1名)に対し,低身長54%(13名)と低身長の傾向を示した.<BR><BR>【考察およびまとめ】<BR> 約9割の二分脊椎症児は足部変形を有し,約2割が過体重を示した.過体重は変形増悪を助長してしまう要因になると考えられる.また,保護者における患児の体重への配慮も低いことを踏まえ,保護者への指導も含めた理学療法が必要となると考えられる.加えて,早期からの骨に対する荷重を促すなど身体発育に着目した理学療法を施行していくことも大切である.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2006 (0), B0756-B0756, 2007

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205566847360
  • NII論文ID
    130005013765
  • DOI
    10.14900/cjpt.2006.0.b0756.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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