当院における感染対策への理学療法士の関わり

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抄録

【はじめに】<BR>2007年4月の医療法・医療法施行規則の改定にて、すべての医療機関において感染対策面での適切な対応が必須となった.当院においても感染対策のマニュアル整備や、感染対策チーム(Infection Control Team 以下ICT)の活動などに理学療法士が参加し取り組みがなされた.そこで今回、当院での感染対策への理学療法士の関わりについて紹介する.<BR>【リハビリテーション部門の感染対策】<BR>リハビリテーション(以下リハ)部門の感染対策マニュアルの整備を行った.まず、標準予防策の徹底と、リハ医療は患者、スタッフともに集団という特殊な環境下に置かれており、常に感染源を拡散させる可能性があることを認識したマニュアル整備を行った.リハ部門での感染伝播経路は、患者と医療従事者の直接接触と、ベッドやマットなどの環境を介した間接接触である.そのため手指衛生は重要で、異なる患者に接触するたび流水での手洗いを基本とし、手洗い設備が充分でない環境では、擦式消毒用アルコール製剤を利用することとした.全スタッフも感染防止委員会にて年2回開催される手洗い講習の受講を必須とした.治療器具は診療開始前に消毒清掃し、療法実施中もベッドやマット等の高頻度で接触する器具は、その都度アルコール消毒を行うこととした.また、洗浄・消毒できない訓練器具を使用する前には、使用する患者に対しても手洗いを促した.<BR>感染症患者の療法実施に対しては、原則的に患者の病室にて標準予防策実施下で理学療法を実施した.しかし、患者に必要なプログラムが個室病室という環境に適応しない場合は、集団接触を避けるために時間調節を行い、診療終了に近い時間帯で実施することとし、その場合の訓練器具は消毒が容易な物を選択し使用後消毒を必須とした.<BR>【ICTでの活動】<BR>ICTの構成員は、医師、看護部長、薬剤師、臨床検査技師、各病棟看護師と理学療法士で構成され、週1回の全病棟ラウンドを行っている.各病棟の発熱患者をリストアップし、感染源の特定や抗菌薬を含めた治療方法の検討・介入を行っている.そのなかで理学療法士は、呼吸器感染症にて気管支炎、肺炎を併発した患者に対して呼吸療法の必要性をICTにて検討し、必要であれば呼吸療法を開始する.呼吸療法の頻度や内容などを検討し、看護師との協力にて排痰・呼吸状態改善目的を中心に体位ドレナージ・呼吸介助などを実施している.また、ベットサイドでの呼吸療法を実施するうえで、看護師の協力は必要不可欠であり、新人看護師を対象に体位ドレナージの方法や呼吸介助方法などの研修指導も行っている.<BR>【まとめ】<BR>今回、感染対策に対しての取り組みに参加したが、感染対策を実践するうえで、看護部門を中心との情報の共有と連携をより強化する必要性がある.また、手洗いを中心とした継続的な標準予防策、定期的な院内研修の必要性を再度認識した.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), D3P3500-D3P3500, 2009

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205566878592
  • NII論文ID
    130004581159
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.d3p3500.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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