要介護者等に対する30秒椅子立ち上がりテストの基準値作成の試み
Description
【はじめに】地域在住高齢者の約4分の1は、5回連続して立ち上がることができないと言われているが、30秒椅子立ち上がりテスト(以下、CS-30)は、一定の時間内に遂行できる回数を測定するため、一般高齢者だけでなく、虚弱で低体力な高齢者まで有用である。また、ADLにおいても転倒や歩行能力等との関連性が報告されている。今回、介護保険認定者に対する施行の安全性の確認及び介護度別基準値の作成を目的とし、調査を行なった。<BR>【方法】対象は、介護認定を受け在宅生活をしている日常の指示理解に問題がない女性高齢者108名(平均年齢80.2±5.6歳)であった。内訳は、要支援1 42名、要支援2 39名、要介護1 24名および要介護2 3名であった。対象者へは、研究及び測定の趣旨について説明し、同意を得た。測定はCS30テスト要領に沿い実施したが、椅子は着座時の転倒に配慮し、背もたれつきの椅子を用いた。測定は2回行い、最高値を記録とした。統計処理には、一元配置の分散分析後、Tukeyの検定を用いて多重比較を行なった。また、それぞれの変数間の相関関係の検討として、Pearsonの積率相関係数を求めた。<BR>【結果】対象者は介護認定を受けている者であったが、施行に制限なく、安全に施行できた。また、要介護2以上の者では動作遂行の自信の欠如により測定に抵抗を示し、検査に協力を得られないものが多く少数であったため、統計処理から除外し、105名を検討に用いた。要支援1、要支援2及び要介護1のそれぞれの群の年齢には有意差を認めなかった。介護度毎の基準値は、平均値-0.5SD≦X<平均値+0.5SDで算出した。結果、算出された基準値は、要支援1 14~17、要支援2 11~13及び要介護1 8~10であった。各介護度間のCS-30の平均値の差には、それぞれ統計学的な有意差が見られた(p<0.05)。また、各変数間には相関関係がみられ、介護度とCS-30間には有意な負の相関(p<0.01)及び年齢とCS-30間には有意な負の相関をみとめた(p<0.05)。<BR>【考察】今回、CS-30は要介護者等の虚弱な高齢者にも有効に実施でき、基準値を提示することができた。結果より提示した基準値は、中谷らの示す日本人の健常女性高齢者基準値と比べ低下しており、また、介護の必要度が上がるにつれて有意に低下する傾向を示し、加齢に伴いCS-30の値は低下するという点では先行研究と同様の結果を示した。しかし、要介護2より重度の者は測定協力を得られる機会が少なく、今後、中等度の生活機能障害以上の者に対しては、障害の程度に応じた測定方法の変更の必要性が示唆された。しかし、比較的軽度の要介護等認定者に対する基準値が提示でき、地域支援事業や予防事業実施時に具体的な数値での比較や目標設定が可能となることから、本研究結果は有用であると思われる。<BR><BR>
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2007 (0), E1208-E1208, 2008
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Keywords
Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205567010176
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- NII Article ID
- 130005016163
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed