自主トレーニングの定着へ向けた行動分析学的指導方法の検討
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- 米村 武男
- 横浜新都市脳神経外科病院
書誌事項
- タイトル別名
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- 心身の活動量向上へ向けた取り組み
説明
【目的】訪問理学療法では、在宅生活管理並びに心身の活動量の改善を目的に介入することもある。自主トレーニング(以下自主トレ)の指導はその一手段として用いられるが、定着が困難な場合が多い。今回、糖尿病(以下DM)患者に対し自主トレ指導方法に関する検討を行ったので報告する。<BR>【症例紹介】86歳 女性 疾患名:DM・廃用症候群 合併症:網膜症 末梢神経障害 現病歴:10年前にDMと診断。引きこもり傾向・廃用により転倒頻度が増える。<BR>【初期評価】<BR>▼身体面 TUGT:20秒 筋力:下肢体幹3/5 周計(大腿cm):34/34.2 Borg指数:16/20(20分程度の散歩後)▼DM Hba1c:8.3% BS:210mg/dl BMI:26▼歩行数:平均2000歩/日 LifeSpaceAssessment(以下LSA):74 「生活するのが疲れる」 <BR>【経過】<BR>第一期(6M):転倒頻度の減少と自主トレ未定着<BR>指導内容:下肢ストレッチや筋力トレーニング(主に大腿四頭筋を下腿の自重負荷・等尺性収縮にて20回/2setを訓練実施)の他、訓練内容同様及び30分/日散歩を自主トレ設定とし、口頭・紙面で指導した。結果:姿勢・ROM・TUGT・転倒頻度の改善を認めた。しかし自主トレが定着せず、訪問リハ終了による再度廃用の懸念が残り自主トレ定着が課題となった。またLSA・歩行数・Borg指数・筋力に変化を認めなかった。<BR>第二期(6M):行動分析学的指導による自主トレの定着<BR>指導内容:訓練頻度・内容は第一期と同様、自主トレ指導として行動分析学的指導を用いた。主な内容は自己効力感を高める為に▼目標行動の設定:TimeStudy法による実施時間の明確化▼セルフマネジメント行動の確立:DM管理や歩行数・自主トレ回数の自己記録評価▼他者強化:訪問時間中の自己記録評価のフィードバック を実施した。また自己効力感の評価としてSF36を指標にした。<BR>【結果】<BR>▼身体面 TUGT:15秒 筋力:下肢体幹5/5 周計:36.4/36.8 Borg指数11/20▼DM HbaIc6.3% BS130mg/dl▼生活面 歩行数:7000歩 BMI:18 LSA:110 SF36:身体75→100全身的健康40→62活力37.5→68.7社会生活75→100精神75→100「生きるのが楽しい」<BR>【考察】<BR>今回自主トレが定着できないために廃用予防が達成されなかった症例に対し行動分析学に基づく自主トレ指導を実施した結果、定着が可能になり心身の活動量が改善した。行動分析学は自己効力感を高めることを目的とする。指導実施後、自己効力感が向上したことで定着が可能になったと考える。自主トレ指導は丁寧なフォローが必要であり、定着に向けた指導方法として行動分析学を用いることは有用ではないかと考えた。
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2007 (0), E1171-E1171, 2008
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205567186176
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- NII論文ID
- 130005016126
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可