在宅脳卒中患者における加速度計を用いた身体活動測定

  • 坂本 恵子
    和歌山県立医科大学附属病院リハビリテーション科 市立岸和田市民病院機能訓練室
  • 中村 健
    和歌山県立医科大学附属病院リハビリテーション科
  • 佐嶋 義高
    市立岸和田市民病院機能訓練室
  • 三宅 隆広
    和歌山県立医科大学附属病院リハビリテーション科
  • 佐々木 緑
    大阪府立急性期総合医療センターリハビリテーション科
  • 田島 文博
    和歌山県立医科大学附属病院リハビリテーション科

書誌事項

タイトル別名
  • Physical activities and steps in daily living after stroke

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抄録

【目的】脳卒中は日本の死亡原因の第3位であり、寝たきりの最大の原因である。在宅脳卒中患者の身体活動量を評価することは日常生活を改善していくことへの理解の一助となる。脳卒中患者は多くの場合、歩行障害を呈する症例が多いため、歩数だけでなく立位や坐位をとっている時間を評価しなければ活動量は把握できない。これまでに24時間の姿勢の変化と歩数を同時に測定したものと、脳卒中患者と健常者を比較した報告はない。本研究では、脳卒中患者と健常高齢者において臥位、坐位、立位、歩行時間、歩数を加速度計を用いて測定し、検討した。<BR><BR>【方法】対象は発症6ヵ月以降の在宅脳卒中患者群8名と対照群9名で、MiniSun社製IDEEA(Intelligent Device for Energy Expenditure and Activity)システムを用いてデータを測定した。同システムは異常歩行を呈する脳卒中患者群の歩数を正確に計測できないため、筆者は加速度データを全て印刷して歩数を数えた。本研究は和歌山県立医科大学倫理審査委員会に承認されており、全被験者に本研究の内容を説明し、同意を得た。データの統計学的解析は一元回帰分析を用い、有意水準を5%未満とした。<BR><BR>【結果】脳卒中患者群の立位時間は対照群よりも有意に短かった。脳卒中患者群の坐位、立位、歩行時間の合計は対照群と比べて有意差はなかった。脳卒中患者群の臥位時間は対照群と比べて有意差はなかった。1日の歩数は脳卒中患者群では対照群に比べ有意に少なかった。歩行速度は脳卒中患者群では対照群に比べ有意に遅かった。<BR><BR>【考察】ヒトは重力の影響を受ける姿勢をとることで最大酸素摂取量と心拍出量の減少を予防し、運動に対する耐性を維持することができる。加えて低活動時間延長を予防し、脳卒中の再発と心血管イベント発症の予防に重要な役割を果たすことが米国心臓学会ガイドラインにおいて報告されている。特に脳卒中患者においては寝たきりを防ぎ、運動ができる身体の状態を維持するため立位時間を長くすることが今後の課題である。これまでの研究では脳卒中患者と脊髄損傷者の一日の歩数は3500から5500歩と報告されている。本研究での脳卒中患者群の一日の平均歩数は5689歩であった。これは非常に高い数値であり、道路・鉄道などの基幹施設、社会資源が障害者のためのユニバーサルデザインへと改善されているためであると考えられる。 <BR><BR>【まとめ】脳卒中患者の日常生活における活動量を高い位置に保つことは医学的見地から推奨される。本研究では在宅脳卒中患者はよく歩いており、ベッド安静時間を減少させていることが解明した。これらの結果は脳卒中患者の日常生活において十分なものであった。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), B1609-B1609, 2008

    公益社団法人 日本理学療法士協会

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