人工膝関節置換術術式間における術後成績の比較検討

  • 一場 友実
    国立病院機構災害医療センターリハビリテーション科
  • 杉本 和隆
    苑田会人工関節スポーツセンター 整形外科

書誌事項

タイトル別名
  • MIS TKA・UKA・standard TKAとの比較

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説明

【はじめに】近年ますます早期リハビリテーションの重要性が示唆されている。当院では早期退院へ向け、最小侵襲人工膝関節全置換術(以下MIS TKA)術後当日歩行を開始している。それにより今までのstandard TKAに比して大幅な在院日数の短縮が図れ、また退院時に獲得できる可動域についても在院日数が短縮しても差はなく、MIS TKAの有用性が示唆された。また当院では初期の関節変形に適応される人工膝関節単顆置換術(以下UKA)の手術も行っている。今回われわれは当院で行なわれている人工膝関節置換術の術式による術後成績の比較検討を行ったので報告する。<BR>【対象】対象はMIS TKA術後当日歩行を開始した群とUKAを施行した群、standard TKAを施行した群の任意に抽出した各々7関節を比較検討した。MIS TKA群の平均年齢72.8歳、男性2関節、女性5関節。UKA施行群の平均年齢70.6歳、男性1関節、女性6関節。standard TKA群の平均年齢68歳、男性1関節、女性6関節。全例変形性膝関節症であった。<BR>【方法】MIS TKA群:AM9時手術室へ。AM11時病室へ帰室。同日PM4時全荷重歩行開始とした。UKA群:手術翌日より全荷重歩行開始とした。standard TKA群:手術後平均3日目にドレーン抜去しその後全荷重歩行開始とした。この3群について各々在院日数、リハビリテーション実施日数、リハビリテーション開始時・退院時の関節可動域の改善した角度について比較検討を行った。統計処理は分散分析、多重比較検定(Tukey法)を行った。<BR>【結果】MIS TKA群、UKA群、standard TKA群において、平均在院日数は28.8日、29.6日、50.8日。リハビリテーション実施日数は20日、18日、27.4日であった。平均在院日数において有意差が認められ、多重比較検定においてMIS TKA群とstandard TKA群に有意差が認められた。リハビリ開始時・退院時関節可動域については屈曲・伸展共に改善した角度に群間内で有意差は認められなかった。<BR>【考察】今回の結果よりMIS TKA群とstandard TKA群において有意な差が認められた。在院日数の短縮、早期退院には荷重の時期や術式が大きく関与していることがわかった。UKAはTKAに比して内側のみの初期の関節変形の段階で行われる術式であり、靱帯も温存されるため、早期退院や術後の成績も良好であると考えられた。しかしUKA群とstandard TKA群には有意な差は認められなかった。今後はさらに症例数を増やし、皮切や術前の状況の影響、術前・術後の筋力や退院後の経過など多方面から更なる検討を行っていきたいと考える。<BR><BR><BR><BR><BR><BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), C0919-C0919, 2008

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

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