膝関節伸展可動域,Q-angleと大腿四頭筋セッティングにおける筋活動との関係
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説明
【目的】<BR> 大腿四頭筋の等尺性収縮訓練は,変形性膝関節症や前十字靭帯再建術後に対する筋力増強運動として広く指導されている.大腿四頭筋の等尺性収縮訓練には,主に下肢伸展挙上(SLR)と大腿四頭筋セッティング(セッティング)の2つの方法が用いられており,それぞれについて長期的訓練の筋力増強,疼痛軽減等の効果を示した報告や,両者を筋電図学的に比較しその筋活動特性を示した報告が多く存在する.しかし,対象者の膝関節可動域やアライメントとセッティングにおける筋活動量との関係を検討したものはない.本研究の目的は,膝関節伸展可動域,Q-angleとセッティングにおける筋活動との関係を検討し,理学療法プログラム立案の一助とすることである.<BR>【対象と方法】<BR> 対象は,健常成人14名(男性7名,女性7名,年齢26.1±3.7歳)とした.なお対象者には,事前に本研究の趣旨および方法について書面および口頭にて十分な説明を行い同意を得た.膝関節伸展可動域,大腿直筋と膝蓋靱帯の成す角(Q-angle)をゴニオメーターを用いて同一検者が測定した.表面筋電図の導出は,大腿直筋(RF),内側広筋(VM),外側広筋(VL)の3筋とし,サンプリング周波数は1kHzとした.<BR> 測定肢位を背臥位股関節内外旋・内外転中間位とし,膝窩部に丸めたバスタオルを置き膝関節軽度屈曲位とした.運動課題は,足関節背屈運動を伴い最大努力にて大腿四頭筋等尺性収縮を5秒間行い,休息を挟み10回行った.その後端坐位膝関節屈曲60度にて最大等尺性膝関節伸展運動を5秒間行った(MVC).<BR> 筋電図の解析は,それぞれの筋について波形の安定した1秒間の平均値を求め,MVCで正規化しセッティング中の各筋の%MVCを算出した.また,%MVC よりVM/VL比率,広筋群{(VM+VL)/2}/RF比率を算出した.統計学的解析は膝関節伸展可動域,Q-angleとセッティング中の各筋%MVC,VM/VL比率,広筋群/RF比率との間の相関を求めた.<BR>【結果】<BR> 対象者は平均で膝伸展可動域が4.8±5.7度,Q-angleが14.5±3.4度であった.セッティング中の各筋%MVCの平均は,RFが68.1±28.9%,VMが101.7±21.8%,VLが108.7±27.3%であり,VM/VL比率は0.989±0.326,広筋群/RF比率は1.766±0.744であった.膝関節伸展可動域と広筋群/RF比率との間にのみ有意な正の相関(r=0.654,p< .05)が認められた.Q-angleとの有意な相関は認められなかった.<BR>【考察】<BR> 膝関節伸展可動域と広筋群/RF比率との間に有意な正の相関が認められたことから,膝関節伸展可動域の評価は症例の筋収縮特性の予測因子となり.症例に応じた効果的な大腿四頭筋訓練を行う際にはその指標となる可能性が示唆された.
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2007 (0), C0128-C0128, 2008
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205567546880
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- NII論文ID
- 110006799685
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- NII書誌ID
- AN10146032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可