膝屈曲時の膝窩部痛の原因について 第2報

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  • 遺体解剖による考察

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【はじめに】膝屈曲時における膝窩部痛は膝関節疾患に多く見られ、その原因の探索は臨床上重要である。我々は膝関節運動に伴う組織の位置変化や筋の形状変化を機能解剖学的にとらえ、その原因を腓腹筋内側頭起始部の折りたたみによる圧迫、もしくは膝窩筋の伸張によるものであると報告した。しかし臨床上膝窩外側部の疼痛を訴えるケースもまれにみられるため再度膝屈曲時における膝窩部の観察を遺体にて行った。<BR>【対象】熊本大学形態構築学分野の遺体で、大腿骨・脛骨の可動性が充分保証されている4体の膝4関節及び観察用に22体膝44関節を用いた。<BR>【方法】可動性の充分保証された膝4関節において伸展位から最大屈曲位まで可動し膝窩部の様子を観察した。また、22体膝44関節においては膝窩関節包の一部に存在するファベラの有無の確認を行った。なお観察したモデルは組織の動態が確認できるように表皮及び結合組織、脈管系を除去し、筋、関節包を剖出した。<BR>【結果】可動した4関節においてはこれまで報告した通り膝屈曲角度が進むにつれ腓腹筋内側頭が起始部にて折りたたまれ圧迫され、膝窩筋は伸張された。外側においては屈曲角度が進むにつれて足底筋が折りたたまれると同時に深部の関節包は蛇腹状になり撓みが見られたが大腿骨と脛骨による圧迫は軽微であった。腓腹筋外側頭においては起始部が足底筋より末梢であるため、折りたたまれることはなかった。次に4関節の内2関節においてはファベラが存在した。ファベラの存在した関節は屈曲にて関節包が後方に緩み腓骨頭上方に位置する膝窩筋にファベラが接触した。それは角度が進むにつれて圧迫強度が増加した。ファベラの存在する関節は44関節中7関節(15.9%)に確認された。<BR>【考察】外側課部関節包の一部であり、腓腹筋外側頭の起始腱の内部に存在するファベラは大豆状の種子骨である。その出現率はGillesらが8~10% 、J.Langらが10%と報告しているが今回の遺体解剖においても15.9%のファベラ出現例が確認できた。屈曲することにより後課部関節包は蛇腹状に折りたたまれることでコンパクトに収納される。しかしファベラが存在する例においては関節包の一部とはいえ種子骨であるためにその部位が後方に突出し腓骨頭上方に位置する膝窩筋(膝窩筋も含む)を圧迫していた。第38回の学術大会にて膝屈曲時には腓腹筋内側頭が圧迫を受けやすくそれが原因で疼痛を発する可能性があり、外側に関しては機械的な圧迫は起きないということを報告した。しかしファベラの存在する例においてはそれによる膝窩筋および周囲の軟部組織に圧迫を加えることが確認できた。ゆえにその部位においても疼痛を発する可能性が示唆された。またファベラの確認はレントゲン撮影にて容易に確認出来るため、評価において早期に疼痛部位を推察することも可能ではなかろうか。<BR>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205567564160
  • NII Article ID
    130005013999
  • DOI
    10.14900/cjpt.2006.0.c0884.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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