うちわを扇ぐ動作が肩関節機能へ与える影響の比較

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  • 七輪を扇ぐ動作と顔を扇ぐ動作を比較して

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説明

【はじめに】我々は先行研究において、うちわで七輪や顔を扇ぐ動作が腱板や肩関節周囲筋群に対して同時にアプローチでき、協同運動を導くことが可能な自己訓練として報告した。そこで今回、2つの動作の効果についてそれぞれ七輪群・顔群とし比較、検討した。<BR>【対象】七輪群では肩に愁訴のない健常成人20例(男性10例、女性10例)利き側20肩、平均年齢27.2歳(23~42歳)。顔群では肩に愁訴のない健常成人20例(男性10名、女性10名)利き側20肩、平均年齢29.1歳(21~48歳)。<BR>【方法】椅子坐位、股・膝関節90度屈曲肢位にて、七輪では、膝関節から30cm前方に七輪を見立てた物をうちわで30秒間扇いでもらった。また顔では、同一肢位にて顔をうちわで30秒間扇いでもらった。これらの動作の前後に、それぞれMICRO FETを用いて内旋・外旋・肩甲骨面挙上(以下、挙上)筋力を1日以上空けて3回測定し、その得られた値の平均値を被験者の体重で除して基準化し、対応ありのt検定を用いて比較し、その後両者を対応なしのt検定にて比較した。また、ET・EPTを動作前後に比較した。さらに、ゴニオメーターを用いてHFT・CATも動作前後に測定し、対応ありのt検定にて比較し、その後両者を対応なしのt検定にて比較した。肩甲骨偏位は、肩甲骨の内側縁と脊柱棘突起の間を計測し左右差を観察するSSDを利用し、上位(以下、SSD-U)・下位(以下、SSD-L)の左右差1cm以上を偏位とした。また、両肩甲骨下角の高低差1cm以上により、正常・挙上・下制偏位とし動作前後に比較した。<BR>【結果】外旋筋力値は七輪群のほうが有意に高かった。内旋・挙上筋力値においては、有意差は無く相関性が無かった。HFT・CATはいずれも七輪群のほうが有意に高かった。ETの改善率は七輪群では60%、顔は89%であった。EPTの改善率は七輪群では90%、顔群では100%であり、いずれも高い効果を示した。肩甲骨偏位の改善率は七輪群が65%、顔群が60%であった。<BR>【考察】今回の結果では、比較的七輪群の方が肩関節に対する効率的な影響を示した。これは比較した2つの動作において、レバーアームの位置、運動軸、目的動作の点に違いが生じた為、腱板や肩関節周囲筋群への影響に差が出たと考える。<BR>【結語】うちわを扇ぐ動作は、いずれの方法においても高い効果を示しており、できるだけ患者自身に無理のない方法を選択し薦めることが可能である。また腱板や肩関節周囲筋群に対して同時にアプローチでき、協同運動を導くことが可能な自己訓練として期待できる。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), C0121-C0121, 2008

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

被引用文献 (1)*注記

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