肩甲帯と骨盤の水平面上のねじれと個人特性との関連
説明
【目的】<BR>体幹のアライメントと運動機能は、理学療法士が行う評価と治療の対象として重要視されている。検査測定では、肩甲帯や骨盤の前後左右の傾き、脊柱の矢状面上及び前額面上の彎曲などを視診・触診することが臨床的に簡便な方法である。しかし、水平面上回旋方向でのねじれに着目した簡便な検査測定方法を研究した報告は少ない。本研究の目的は、肩甲帯と骨盤の水平面上の相対的なねじれ(以下、体幹のねじれ)を臨床的に用いることができる新しく開発した方法により検査測定し、健常人の体幹のねじれが個人の特性とどのように関連しているかを明らかにすることである。<BR><BR>【方法】<BR>対象は、若年成人11名(女4名、男7名。平均年齢21.5±0.7歳。利き手は全員が右)とした。検査測定のための使用機器は、イレクターパイプの両端に可動式の継ぎ手をつけ「コの字型」にしたものを軸とし、その中央にデジタルコンパス(GISupply社製。分解能1°)を水平に取り付けたものを使用した。検査測定方法は、体表のランドマークを触診し左右の各々の部位に機器の先端を当て軸を水平に保ちながらデジタルコンパスに表示された方位角度を読み取り記録した。肩甲帯は後方から肩峰の後縁を、骨盤は前方から上前腸骨棘を、各々のランドマークとした。肩甲帯と骨盤の方位角度の差を時計回りを+として体幹のねじれ角度とした。その角度と、身長、BMIとの相関関係をピアソンの相関係数の検定で、性別、肩かけ鞄をかける側の左右との関連をマン・ホイットニ検定で検定した。機器の精度を考慮して、-5°未満を左向き、5°より大きい角度の場合を右向き、その間を正中位とした。<BR><BR>【結果】<BR>体幹のねじれ角度は、平均値4.0±9.3°、最小値-12.5°、最大値16.5°と、やや右向きの傾向であった。身長やBMIと体幹のねじれ角度との間には有意な相関はなかった。性別や肩かけ鞄をかける側の違いによる差も認められなかった。<BR><BR>【考察】<BR>今回は健常若年成人を対象としたことで、加齢や脊柱の変形などの影響が少ない対象者であった。今後は、体幹のねじれの向きの違いの要因を明らかにするため、さらに対象者を増やし、水平面上以外のアライメントや運動機能との関連の検討も含めての研究が必要である。さらに、円背の高齢者などでは脊柱の変形が体幹のねじれに影響を与える可能性が考えられることから、対象者の年齢層を拡大しての研究が必要と考えられる。<BR><BR>【まとめ】<BR>肩甲帯と骨盤の水平面上回旋方向のねじれを、臨床的に用いることができる精度が高く簡便な検査測定方法により測定した。健常若年成人を対象とした今回の研究では、個人特定との間に明らかな関連は認められなかった。<BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2006 (0), C0902-C0902, 2007
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205567891328
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- NII論文ID
- 130005014017
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可