変形性股関節症の歩行時骨盤回旋障害に対する「筋活動の質」と「動きのなめらかさ」の簡易型評価システムの開発

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抄録

【目的】<BR>本研究の目的は,変形性股関節症患者の歩行能力障害を客観的に評価するために表面筋電図(以下EMG)と角速度センサーを用いて,動きを作り出す筋活動の量・質と,その動きによって作り出された骨盤運動の「動きのなめらかさ」を定量化する簡易型評価システムを開発することである.<BR>【方法】<BR>1.EMG・角速度アンプの開発<BR>無線対応(微弱電波方式)の2chのEMG及び角速度アンプ(センサー部分はマイクロストーン社製)を開発した.角速度センサーは第9胸椎と第2仙椎に貼付し,歩行時の水平面状における上部体幹と下部体幹の角速度を計測する.<BR>2.インターフェース<BR>AD変換には市販のPCカード(interface社製)を使用した.<BR>3.モニタリングソフトの開発<BR>6chの生体信号の生波形をモニタリングしながら,以下の解析機能を付加したソフトを開発した.1.EMGの量的評価として単位時間毎(1/8,1/4,1/2,1秒から選択)の積分筋電量を棒グラフ表示させた.2. EMGの質的評価として短時間フーリエ変換(STFT)を用いて,単位時間毎の平均周波数(MPF)を棒グラフで表示させた.3.角速度信号に対して単位時間毎の角速度(平均値)を視覚的にイメージしやすいように棒・円の両グラフで表示させた.4.その他としてデータ保存機能やグラフ作成機能を付加した.<BR>【考察及び今後の課題】<BR>角速度センサーは,歩行時における体軸内での回旋運動を定量化するものであり,角速度の左右差や上部体幹と下部体幹の角速度波形の位相のずれなどから,歩容の改善程度を客観的に評価できるものと考える.今後はEMGとの関連性についての検討が課題である.さらに,今後の開発目標は以下の2点に集約される.1.無線(送受信)システムの小型化,2.wavelet周波数解析のリアルタイム表示機能である.現状での有線による解析システムではコンピュータはノートパソコンを使用している.しかし,携帯して持ち出せる機動性の観点から見れば,ノートパソコンではシステムが大きすぎる.今後はノートパソコンに代わる最新携帯情報端末用OS Windows Mobileを使用し,無線LAN及び通信技術の強化を図りながら,リアルタイムwaveletソフトウエアの組み込みに向けた研究開発を行う.本研究は平成17年度文部科学省特別電源所在県科学技術振興事業委託健康事業「健康サポートシステム構築のための基盤技術研究」からの採択を受けて実施したプロジェクトの一部である.また,本研究で得られた内容の一部は,平成18年1月に特許出願を行った.特願(2006-021691):身体動作能力の質を定量化するシステム装置.<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2006 (0), C0951-C0951, 2007

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205567970176
  • NII論文ID
    130005014066
  • DOI
    10.14900/cjpt.2006.0.c0951.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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