足底板の効果についての検討
説明
【はじめに】足底板とは靴の中敷にあたる部分に凹凸を付けて調節するものである。足底板についてはいくつかの報告がされているが、効果についての報告は少ない。臨床場面では障害のある患者へ運動療法と足底板を併用して理学療法を行うことは多いが、足底板の処方は評価から作製までが理学療法士の経験で行われている部分があり、私自身一連の過程や作製した足底板が適切であったか、判別が難しいと感じることがある。まだ過去の作製数も少なく、利用者の特徴でのパターン分けや傾向を見出すことはできていない。しかし1症例ごとに足底板の効果を明らかにしていくことが、足底板を作製する上での考え方や技術の向上につながると考える。<BR>【目的】本研究の目的は普段から臨床で作製している足底板の効果を評価することである。<BR>【方法】対象は骨関節疾患のない成人5名である。足底板使用・不使用で時間距離因子・静止立位と片脚立位の前額面での下肢アライメント評価・自由歩行での歩容を評価した。前額面の下肢アライメントは両側のASIS、膝蓋骨中央、脛骨粗面、外果部レベルで脛骨中央、両ASISを結んだ線の中点(以下、中点)の計9点へ標点を貼付し、静止立位、片脚立位の大腿骨と脛骨のなす角度、両ASISを結んだ線が水平線に対して傾斜した角度、中点の水平移動距離を算出した。計測にはデジタルビデオカメラを使用した。計測は5名を対象に行ったが抄録では1名の結果を記す。<BR>【被験者Aの評価及び問題点】後足部は左右ともに回外傾向が強く、1列は底屈位、足底腱膜は左でより固い状態であった。片脚立位では骨盤からの移動が少なく、上半身の側屈を用いて重心移動を行っていた。歩行は左踵接地後の全足底接地していく際にKnee-inし、左立脚中期以降に体幹の右側屈が生じ、右立脚期でさらに増悪していた。<BR>【被験者Aの結果】時間距離因子と静止立位、片脚立位での下肢アライメントには著明な変化が認められなかった。しかし、標点は貼っていないが左片脚立位にて上半身位置の変化や、歩容では左立脚中期以降の体幹右側屈が減少していた。<BR>【考察】左片脚立位の上半身位置の変化や歩行時の右側屈の減少が認められたが、これは足底板が足圧分布を変化させ、関節中心と床反力作用線との距離が変化したためにモーメントに変化を与えたのではないかと推察される。今回の下肢アライメント評価は被験者A以外でも変化が少ない傾向があった。作製した足底板の適切ではなかった可能性と評価のパラメータとして下肢アライメントの使用が適切ではなかった可能性がある。今回の計測では上半身位置の変化が数名で認められており、今後は上半身位置の変化をおう評価方法も行ってみたい。<BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2006 (0), C0999-C0999, 2007
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205568070144
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- NII論文ID
- 130005014114
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可