調整機能付き後方平板支柱型長下肢装具(APS-KAFO)を用いた早期歩行訓練
Description
【目的】我々は、これまで、調整機能付き後方平板支柱型短下肢装具(Adjustable Posterior Strut AFO:APS-AFO)を開発し、その基本概念と臨床効果について本学会にて報告を行ってきた。今回、APS-AFOに膝継手と大腿カフを追加した調整機能付き後方平板支柱型長下肢装具(APS-KAFO)を作製し、歩行重症例に対して早期からの歩行訓練を行ったので報告する。<BR>【対象】脳卒中片麻痺歩行障害重症例14名を対象にAPS-KAFOを作製し、早期歩行訓練を行った。装具作製までの期間は、発症日から平均55日(15~207日)、リハビリ開始日から平均29日(8~64日)であった。<BR>【APS-KAFOの概要】今回作製したAPS-KAFOはAPS-AFOに膝継手と大腿カフを追加したものである。APS-KAFOの基本構造は、下腿部が、足部・シャンク・ヒンジジョイント・後方平板支柱・下腿カフから成り、大腿部が、内外側の支柱・リングロック・膝パット・大腿カフから構成されている。下腿部と大腿部は簡易に取り外しが可能とした。これによって、歩行訓練時には、KAFOとして、その他の時間はAFOとして対応できるようにした。足部は、撓みを防ぐために側壁・後壁にカーボンで補強し、後方平板支柱は、固定性を高めるためにカーボン性を使用せずアルミ板を使用した。<BR>【結果】発症早期からAPS-KAFOを使用して立位・歩行訓練を施行した結果、歩行能力の改善にともない、装具の対応が必要となった。つまり、足関節、膝関節の自由度を制限した状態から、徐々に足関節の可動性の増大、膝関節リングロック解除などの自由度を増やしていく対応を行っていった。そして、膝関節のコントロールが可能になった段階で、大腿部を取り外してAPS-AFOへ移行していき、APS-AFOへ移行した後は、後方平板支柱の選択(カーボン性、剛性種類)や足関節角度調整を施行して歩行能力に対応していった。また、立脚期の安定性を高めるために、足部に外足フレアを取り付けるなどの工夫をした。<BR>【考察】装具療法はリハビリテーションにおいて高頻度に用いられている治療法であり、長下肢装具を用いた早期歩行訓練は、歩行獲得には有効な方法である。今回、APS-KAFOを作製し、歩行重症例に対して早期から歩行能力を評価し、適切なタイミングで装具の対応を施行して、症例の歩行状態にあった装具療法を行うことができたと思われる。従来の装具療法では、歩行能力に応じた対応として、装具の種類を変えて対応することが多い。しかし、この方法では、装具作製に日数を要してしまい、適切なタイミングでの装具療法が困難となるため、APS-KAFOは有用であると思われた。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2007 (0), B0241-B0241, 2008
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205568083456
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- NII Article ID
- 130005015191
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed