足関節底屈筋群におけるmodified Ashworth scaleの測定精度に関する研究
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- 中山 恭秀
- 東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科
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- 木山 厚
- 東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科
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- 五十嵐 祐介
- 東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科
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- 伊藤 咲子
- 東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科
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- 来住野 健二
- 東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科
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- 中村 智恵子
- 東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科
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- 粂 真琴
- 東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科
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- 吉田 啓晃
- 東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科
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- 小林 一成
- 東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
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- 安保 雅博
- 東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
書誌事項
- タイトル別名
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- グレード判断要因である1秒間の他動運動時間,関節可動域,抵抗量に着目して
説明
【目的】我々はこれまでに、本来肘関節においてのみ規定されているmodified Ashworth scale(mAs)が、足関節底屈筋群の測定に有用であるかという視点から、適応するための改良点を模索してきた。前回報告したmAsの足関節底屈筋群における検者間一致率が低値であったことを受けて、先行研究の指摘を元に、1秒を意識させることで明らかに一致率が上がるのか、また、グレードの決定要因である抵抗量と可動性は、mAsの値と相関するものかという2点について検討することである。<BR>【方法】対象は、当院当科病棟に入院し、痙縮を呈する患者6名7肢(平均年齢56.9)である。検者は理学療法士5名(平均経験年数5.3年、男性4名、女性1名)とした。測定肢位は背臥位で膝関節屈曲30°とし、足関節底屈筋群への刺激に配慮した。手順はランダムとし、メトロノームを用いて1秒間の音刺激を使いながらROM運動を5回以上行なった後にグレードを判断し各自が記録した。その際のROM角度を5回測定し、検者が妥当と判断した測定時のHOGGAN社製microFET(Hand held Dynamometer、HHD)による徒手抵抗量(N)を測定した。情報交換は禁止した。測定値の分析は、5名10通り、計60データで、重み付け一致率(Weighted kappa:kw値)、完全一致率を求めた。また、mAsを説明変数とした重回帰分析を行い、mAsとROM及び抵抗量との相関関係を求めた。なお、本研究は当大学倫理委員会の審査、患者の同意を得ている。<BR>【結果】5名のkw値は、0.39(0.82~0.07)、完全一致率は36.7%であった。重回帰分析の結果、決定係数0.25、重相関係数0.51であり、標準編回帰係数はmAs測定値と関節可動域測定値との間で-0.47、抵抗量との間で0.17であり、抑圧はみられなかった。<BR>【考察】症例数に差はあるものの、前回の報告における一致率0.21(0.50~0.02)、完全一致率25%と同様と捉えられる。今回は1秒間の他動運動を意識するためにメトロノームによる音刺激での精度の向上を加えているが、一致率へ明らかに影響する効果が得られたとは言い難い。よって、前回の結論と同様に、現状の測定手続きでは、足関節底屈筋群の痙縮測定におけるmAsの信頼性は低い。重回帰分析より、足関節背屈可動域と中等度の負の相関がみられた。このことから、mAsの測定が高いことと、関節可動域が狭いことに関連性があることが示唆された。<BR>【結語】mAsは、本邦の脳卒中治療ガイドラインにおいてグレードBとして評価されており、その有用性が高く評価されている数少ない尺度である。しかし、足関節底屈筋群の測定に応用するためには、今後さらに信頼性を高める方法論を検討する必要性があると考える。<BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2007 (0), B0270-B0270, 2008
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205568226944
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- NII論文ID
- 130005015220
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可