TENSによる疼痛緩和の即時効果とその持続効果について

  • 中尾 周平
    鹿児島大学医学部・歯学部附属病院リハビリテーション室
  • 長谷場 純仁
    鹿児島大学医学部・歯学部附属病院リハビリテーション室
  • 木村 宏市
    鹿児島大学医学部・歯学部附属病院リハビリテーション室

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【はじめに】疼痛緩和を目的としてTENSが広く用いられているが、今回、指数関数的漸増波により効率よく通電ができ、さらに不快な通電の原因となるバックパルスをカットし、皮膚に与える刺激がやさしいとされる低周波治療器(ホーマーイオン研究所製.AUTO Tens PRO)を使用し、疼痛緩和の即時効果及び持続効果について調査したのでここに報告する。<BR>【対象】対象は当院に入院、通院患者で肩部、腰部、下肢に疼痛を訴えた男性5名、女性5名(年齢60.3±8.6歳:平均値±標準偏差)である。頸部・肩部疾患5例、腰部疾患4例、下肢疾患1例である。尚、対象には研究を十分に説明し、同意を得た。<BR>【方法】AUTO Tens PROの治療方法は3種類あり、今回は治療部位とモード設定を行えば簡単に治療が可能なTHERAPY PATTERN SELECTIONを使用した。部位は肩部(NECK・SHOULDER)、腰部(WAIST)、下肢は(LEG)、モードは全て痛み(PAIN)を選択した。治療時間は本器の設定通り、肩部に10分、腰部に15分実施した。導子の装着は、本器マニュアル内の治療例を参考にし、刺激は各々が心地良いと感じる範囲で実施した。また導子は温熱機能を有するが、今回は電気刺激による効果のみを検討する目的であったため使用しなかった。評価は問診票を作成し、治療前、治療直後、24時間以上経過後の3回実施した。その内容として治療前は疼痛の程度(VAS)、部位、性状、発現時期、持続時間、治療直後は疼痛の程度(VAS)、変化、性状、治療感想、24時間以上経過後は疼痛の程度(VAS)、変化、性状、効果持続時間である。治療前、治療直後、24時間以上経過後のVAS値の比較についてScheffe法による多重比較検定を行った。(p<0.05)<BR>【結果及び考察】VAS値の平均値はそれぞれ治療前が5.5±2.6、治療直後が2.4±2.2、24時間以上経過後が4.4±2.4となり、治療前と治療直後に有意差が認められた。問診による治療前と直後の比較では疼痛の変化で良好例8名、疼痛の性状変化で良好例6名、治療感想で良好例9名であった。治療直後、24時間以上経過後の比較では疼痛の変化で良好例1名、疼痛の性状変化で良好例1名、効果持続時間で良好例7名であった。効果持続時間の平均値は3.6±4.5時間であり、24時間を越えて効果が持続している例はなかった。また治療の感想では「気持ちよかった」「すごく良い」「スッキリした」「気持ちの上で楽になった」など良好な結果であった。VAS値の比較及び問診結果から、治療による即時効果やリラクゼーション効果は認められたが、その効果は持続しにくいことが分かった。また発現時期が短期間の症例においてはVAS値が大幅に減少する傾向にあり、疼痛の消失例もみられた。疼痛は理学療法の妨げになることがあるが、TENSの効果持続時間内に理学療法を実施することで治療効果の向上が期待できると考える。今後は治療モードや治療期間などを考慮し、再検討していきたい。<BR>

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