HAM患者に対する短期集中入院リハビリテーションの試み

DOI
  • 奥田 求己
    京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部
  • 栗山 長門
    京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部 京都府立医科大学大学院神経内科学
  • 東 善一
    京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部
  • 平本 真知子
    京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部
  • 棟近 麻衣
    京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部
  • 松井 知之
    京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部
  • 梅本 明
    京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部
  • 原田 宗一郎
    京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部
  • 松井 善也
    京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部
  • 瀬尾 和弥
    京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部
  • 久保 秀一
    京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部
  • 増田 隆司
    京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部
  • 武澤 信夫
    京都府リハビリテーション支援センター 京都府立医科大学大学院神経内科学
  • 中川 正法
    京都府立医科大学大学院神経内科学
  • 長谷 斉
    京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部 京都府立医科大学大学院運動器機能再生外科学(整形外科学)

抄録

【目的】我々は平成18年4月より当院におけるHTLV-1関連脊髄症 (HTLV-1-associated myelopathy:以下HAM)患者に対する短期集中入院リハビリテーション(以下:入院リハ)を実施し、その有用性を報告してきた。今回、納の運動機能障害重症度(Osame’s Motor Disability Score:以下OMDS)とFIMを用いて入院リハ実施前後でそのリハ効果を検討した。また当院入院前の継続リハ歴の有無と罹病期間が入院リハ効果に及ぼす影響についても検討した。<BR>【対象】整形外科疾患の既往がないHAM患者15名(男性3名、女性12名、平均年齢51.9±11.8歳)。OMDS:3~10/13。罹病期間は1~30年。<BR>【方法】HAM患者に対して体幹筋を中心とした短期集中入院リハを約6週間(4~8週)実施し、入院リハ前後のFIM総得点とOMDSについてウィルコクソン順位検定を用いて比較した。また上記HAM患者群を、現在も通所もしくは外来リハを継続している継続リハ歴あり群(6名)と継続リハ歴なし群(9名)に分け、この2群間で入院リハ効果に違いがあるのかをχ二乗検定を用いて比較した。罹病期間の影響について、入院リハ実施前OMDS、入院リハ実施前FIM得点との相関の有無を検討し、更に罹病期間に対するFIM得点の改善とOMDSの改善度に対する関連について、スピアマンの順位相関検定を用いて検討した。<BR><BR>【結果】1.入院リハ実施前後でFIM総得点の有意な改善を示し(p=0.009)、OMDSにおいても改善する傾向を示した(p=0.06)。2.継続リハ歴あり群と継続リハ歴なし群間における入院リハ効果の有意性は認められなかった。3.罹病期間と入院リハ実施前OMDS(r=0.70、p<0.01)、罹病期間と実施前FIM得点(r=-0.85 、p<0.01)では有意な相関を認めた。4.罹病期間とFIM得点の改善の間では有意な相関が認められたが(r=0.66、p<0.01)、罹病期間とOMDSの改善度では相関が認められなかった。<BR><BR>【考察】我々はHAM患者において、短期集中入院リハがFIMスコア、OMDSの改善をもたらすことを確認した。HAMは緩徐進行性の神経疾患といわれている。1.の結果より、入院リハは歩行障害を中心とした神経障害の進行を遅らせることが明らかとなった。一方、入院前の継続リハを行っていても入院リハ効果の大きな相違が認められなかったことから、少頻度の外来や通所でのリハサービスだけではHAM患者の動作能力やADLを維持させることは困難だと考えられる。罹病期間のもたらす影響について検討したところ、罹病期間が長い患者ほど実施前OMDSと実施前FIMともレベルが低いが、興味深いことに罹病期間が長い患者ほど入院リハ効果が得られる傾向にあった。<BR><BR>【まとめ】継続リハ歴の有無にかかわらず、FIM・OMDSいずれにおいても入院リハ効果が認められ、HAM患者の集中的な入院リハの必要性が示唆された。また入院リハ効果において罹病期間を考慮する必要性があると考えた。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), B1121-B1121, 2008

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205568465664
  • NII論文ID
    130005015313
  • DOI
    10.14900/cjpt.2007.0.b1121.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ