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地域在住高齢者における体幹機能評価の検討
Bibliographic Information
- Other Title
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- ─運動機能評価の因子構造─
Description
【はじめに、目的】 高齢期における筋量および筋力の低下は、虚弱発生の主要な原因となり、高齢者の身体機能維持にとって重要な課題とされている。この加齢とともに進行する高齢者における筋量の減少はサルコペニアと呼ばれ、これまで多くの研究が積極的に進められてきた。なかでも特に注目されてきたのは、移動時の主動作筋である大腿四頭筋などの下肢の筋群であり、高齢者の下肢筋量および筋力の低下は、歩行機能などの移動性低下の要因となることが報告されている。しかしながら、歩行時における下肢運動の固定性を保つとされる体幹筋の機能に関する報告は少なく、地域在住高齢者に対する体幹筋の機能的役割については明らかにされていない。本研究では、地域在住高齢者における体幹の機能評価と既存の運動機能評価との関連性を検討することを目的とした。【方法】 対象は地域在住高齢者56名(平均年齢73.9±4.7歳、男性25名、女性31名)とした。選定基準はADLが自立している者、要介護認定を受けていない者、過去6ヶ月以内に重篤な疾患を有していない者、動作を制限する疼痛がない者とした。体幹の機能評価として、体幹筋力測定、体幹持久力テスト、坐骨歩きテストを実施した。体幹筋力では、BIODEXを用いて角速度120度/secにおける体幹屈曲および伸展のトルク値を計測した。体幹の屈曲と伸展で得られたトルク値をそれぞれ体重で補正することによって体幹屈曲筋力と体幹伸展筋力の指標とした。体幹持久性テストは体幹屈曲持久力テストと体幹伸展持久力テストの二つのテストを実施した。体幹屈曲持久性テストは、背臥位で股関節と膝関節が屈曲90度になるように安定した台の上に下腿を乗せ、肩甲骨下角が地面から離れた状態をできる限り保持するように指示し、60秒を上限として保持することができる時間を計測した。また、体幹伸展持久性テストは、腹臥位から胸骨が床面から離れるまで体幹を伸展させ、60秒を上限として保持することができる時間を計測した。坐骨歩きテストは体幹の協調的な運動を評価するための指標として測定した。このテストでは、腕組み長座位で体幹を回旋させながら10秒間できるだけ前方へ進むように指示し、10秒間の右外果間の距離を坐骨歩行距離として計測した。その他の運動機能検査として、膝伸展筋力、開眼片脚立ち、ファンクショナルリーチテスト(FRT)、5m最大歩行速度、Timed Up and Go test(TUG)を実施した。統計学的分析は体幹の機能評価と各変数との関連を調べるためにPearsonの相関係数を求めた。また、今回測定した体幹機能および運動機能検査の因子構造を検討するために探索的因子分析を行った。統計処理にはSPSS15.0を用い、危険率5%未満を有意とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者にはヘルシンキ宣言の趣旨に沿い本研究の主旨および目的を口頭と書面にて説明し、書面にて同意を得た。なお、本研究は札幌医科大学倫理審査委員会の承認を受けて実施した。【結果】 体幹屈曲筋力と体幹伸展筋力はそれぞれ膝伸展筋力(r= 0.450, r= 0.393)、片脚立ち時間(r= 0.381, r= 0.319)、5m最大歩行速度(r= 0.659, r= 0.530)およびTUG(r= -0.634, r= -0.462)と有意な相関関係を示した。体幹屈曲持久力は膝伸展筋力(r= 0.495)、FRT(r= 0.311)と相関関係にあり、体幹伸展持久力は膝伸展筋力(r= 0.489)、FRT(r= 0.341)、5m最大歩行速度(r= 0.513)、TUG(r= -0.371)と有意な相関関係を示した。また、坐骨歩行距離は片脚立ち時間(r= 0.438)、FRT(r= 0.264)、5m最大歩行速度(r= 0.424)、TUG(r= -0.393)と有意な相関関係を示した。また、探索的因子分析の結果、因子パターン負荷量が0.4以上の検査項目は、第1因子において5m最大歩行速度、TUG 、体幹屈曲筋力、体幹伸展筋力、片脚立ち時間、膝伸展筋力が含まれた。第2因子には体幹屈曲持久力および体幹伸展持久力が該当した。また、FRTと坐骨歩行距離はいずれの因子にも含まれなかった。【考察】 今回測定した地域在住高齢者の体幹機能と既存の運動機能の一部が相関関係にあることが示された。また、探索的因子分析の結果、第2因子として体幹屈曲持久力と体幹伸展持久が高い負荷量を示したことから、今回測定した運動機能検査のなかで、体幹持久力テストは一次元性が保証されるものであると考えられた。また、坐骨歩行距離がどの因子にも含まれなかったことは、坐骨歩きテストが特異的な運動機能検査を抽出する指標である可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】 体幹筋群は身体中心の固定作用として四肢の運動を保証する重要な筋群であり、高齢者が運動を遂行する上で重要な役割を担っている。これまでの上下肢機能評価に加えて、地域在住高齢者に対する体幹機能評価の知見を積み重ねることで、体幹筋トレーニングを中心とした効果的な運動介入を提案できる可能性がある。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2011 (0), Ea0339-Ea0339, 2012
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205571274368
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- NII Article ID
- 130004693388
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed