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腹横筋トレーニングが脊柱アライメントに及ぼす影響
Description
【目的】<BR> 腹横筋は腹圧を高める働きを持ち,脊柱の安定性に関与している.また,腰痛の原因となる腰椎過前彎を修正する上でも重要な筋であるとされている.本研究では,機器を用いた腹横筋トレーニングを行い,トレーニングによる腰椎前彎角の変化を脊柱彎曲角の測定によって定量的に評価するとともに,腹横筋トレーニングが脊柱アライメントに及ぼす影響について検討することを目的とした.<BR>【方法】<BR> 対象は筋骨格系疾患を有さない健常男子大学生14名とした.腹横筋のトレーニング方法として背面を壁に接した状態での立位において,腹部にベルトで固定したスタビライザーの圧を70mmHgで安定させ,さらに息を吐きながら下腹部を凹ませることで,4~10mmHg低下した状態を維持させた.運動内容は, 1週間毎に被検者の腹横筋の収縮持続時間を測定し,その30%収縮時間×10回×3セットとした.運動頻度は週3回,6週間とし,トレーニングは腹横筋の収縮が可能な状態となってから開始した.トレーニング効果の評価は,腹横筋収縮最大持続時間を指標とした.腹横筋収縮最大持続時間の測定は,圧を一定範囲内で維持出来なくなった時間とした.姿勢の評価は,矢状面での立位姿勢において脊柱彎曲角(頸椎前彎角,胸椎後彎角,腰椎前彎角)をスライディングゲージにて測定した.また骨盤傾斜角は,上前腸骨棘を通る地面との水平線と,上前腸骨棘と上後腸骨棘を結ぶ線の成す角とし骨盤傾斜測定器を用いて測定した.立位姿勢は安静時姿勢とした.評価はトレーニング開始前から6週間後のトレーニング終了後まで1週間毎に計7回実施した.各項目における測定間の比較を行い,加えてトレーニング前後の脊柱彎曲角,骨盤傾斜角の相関についても検討した.<BR> 統計学的解析として,各項目における測定間の比較にはFriedman検定(有意水準5%)を実施後,Wilcoxonの符号付順位検定(Bonferroni法による補正を適応)を行った.また,トレーニング前後の脊柱彎曲角,骨盤傾斜角の相関にSpearmanの順位相関分析(有意水準5%)を行った.<BR>【説明と同意】<BR> 本研究について口頭にて十分な説明を行い,さらに書面にて承諾を得た後に開始した.<BR>【結果】<BR> 全対象者において腹横筋トレーニングにより, 骨盤傾斜角はトレーニング前,2週間後,3週間後,6週間後に有意に増加しており,骨盤がより前傾しているという結果となった(トレーニング前11.4±6.7°,2週間後17.9±6.1°,3週間後17.4±4.2°,6週間後16.8±3.1°).また,腹横筋収縮持続時間においても有意に増加し,3週間以降において増加はしているが週単位での有意な増加は認められなかった(トレーニング前21.9±9.8sec,2週間後72.6±39.5sec,3週間後102.0±60.7sec).トレーニング前後の脊柱彎曲角,骨盤傾斜角の相関では,腰椎と胸椎に関して有意な正の相関を認めた(rs=0.618).<BR>【考察】<BR> 本研究における結果から,腹横筋単独のトレーニング期間として3週間が1つの目安として考えられた.腹横筋は腹圧を高め脊柱の安定化に関与するとされ,さらに動作時に先行して働く筋とされている.本研究の腹横筋トレーニングは静止立位で行ったことから腹圧を高める働きが中心であり,動作時に先行して働かせるトレーニングとは異なる.そのため,今後は腹横筋を収縮させた状態での動作練習を行っていき,筋収縮のタイミングを学習させていく必要性が考えられる.<BR> また,骨盤傾斜角については,腹横筋の中部線維は胸腰筋膜に付着していることから、腹横筋が収縮することで,胸腰筋膜の緊張が高まり骨盤の前傾が増加したと考える.<BR>腹横筋トレーニングは腹圧を高め,腰椎が引き伸ばされることで腰椎前彎が減少し,重心線と脊柱彎曲との関係において,胸椎後彎頂点が上方に移動するほど,その頂点は重心線に近づき後彎形成は減少するとされている.本研究においては胸椎,腰椎に関して有意な変化は認められなかったため断定は出来ないが,有意な正の相関が認められたことから先行研究と同様な結果となり,腹横筋トレーニングは腰椎のみでなく,胸椎にも影響を及ぼすと考えられた. <BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 脊柱・脊椎疾患に対する,腹横筋筋力強化トレーニングについて検討し,その有効性及び脊柱アライメントへの影響を明らかにした.脊柱・脊椎疾患に対する理学療法プログラム立案時に有益となる.基礎的研究として意義があると考える.
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2010 (0), CdPF2040-CdPF2040, 2011
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205571545088
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- NII Article ID
- 130005017403
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed