両側性片麻痺を呈した重度意識障害患者に対する感覚アプローチの治療経験
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- 藤井 瞬
- 医療法人 栄寿会 天満病院 リハビリテーション科
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- 平澤 小百合
- 医療法人 栄寿会 天満病院 リハビリテーション科
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- 高木 賢一
- 医療法人 栄寿会 天満病院 リハビリテーション科
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- 仁田 裕也
- 医療法人 栄寿会 天満病院 リハビリテーション科
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- 尾﨑 充代
- 医療法人 栄寿会 天満病院 リハビリテーション科
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- 板東 杏太
- 医療法人 栄寿会 天満病院 リハビリテーション科
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- 吉岡 聖広
- 医療法人 栄寿会 天満病院 リハビリテーション科
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- 高田 将輝
- 医療法人 栄寿会 天満病院 リハビリテーション科
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- 髙田 侑季
- 医療法人 栄寿会 天満病院 リハビリテーション科
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- 佐藤 央一
- 医療法人 栄寿会 天満病院 リハビリテーション科
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- 丸笹 始信
- 医療法人 栄寿会 介護老人保健施設 名月苑
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- 勝浦 智也
- 医療法人 栄寿会 介護老人保健施設 名月苑
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- 鶯 春夫
- 橋本病院 リハビリテーション科 徳島文理大学 保健福祉学部 理学療法学科
Description
【目的】今回、重度な意識障害を呈した両側性片麻痺患者に対し、積極的な声かけや離床を行ったものの意識状態の改善が認められなかったため、残存している口腔機能に着目し、味覚を活用した感覚アプローチを立案し施行した。その結果、意識状態等の改善が認められたため、若干の知見を加え報告する。<BR>【方法】症例は71歳・女性。診断名は左脳出血(H21.6.23)・廃用症候群、既往歴として右視床出血、全身性エリテマトーデス。現症として意識障害、両側性片麻痺、構音障害を認める。感覚アプローチ施行前の評価は、慢性期意識状態スケール8/30点(状態スケール3/10点・反応スケール5/20点)、Japan coma scale(以下JCS)20、Glasgow coma scale(以下GCS)開眼2、言語反応1、運動反応1、Brunnstrom recovery stage(以下BRS)は、左右上肢 stage1~2、左右手指 stage1、左右下肢 stage1~2であった。追視は(±)、両眼球左側偏位を認めた。Bathel Index は0点、言語聴覚士による改訂水飲み検査・Food Testはプロフィール4であった。<BR>経過は、H21.6.23に脳出血発症、搬送時点では呼吸停止状態。呼吸再開するも昏睡状態。6.29に理学療法開始、居室にてPositioning、関節可動域訓練、声かけ施行。7.22にPEG造設。8.3にVital sign安定し座位訓練開始。8.16に肺炎併発し一時訓練中止。8.21に座位訓練再開。9.1に感覚アプローチ施行。なお、CT所見は、6.23:左視床付近に広範囲に高吸収域、両側脳室内に高吸収域。7.1:左視床付近は高吸収域低下、midline shift改善、両側脳室内の高吸収域減少。9.18:左視床付近は低吸収域に変化。 <BR>感覚アプローチとしては、居室にて四肢関節可動域訓練、顔面周囲および口腔内のストレッチ、座位訓練を施行。その後、Tilt式リクライニング車椅子に移乗し、リハビリテーション室にて酸味・甘味・塩味・辛味の食物や本症例の好んでいた食物等を医療用滅菌ガーゼで包み、目・鼻・口唇・舌の順に刺激した後、口腔内へ投入し咀嚼運動を促す。食物変換の際、氷を使用することで新刺激を口腔内に加えるとともに口腔内に残る味を打ち消す。頻度は週6回、1回につき感覚アプローチは20分程度施行。なお、評価には日本意識障害学会が定める慢性期意識障害スケールを使用。このスケールは状態スケールと反応スケールに分かれており、既存の意識状態評価よりも細分化され、変化が確認しやすいものとなっている。<BR>【説明と同意】本発表に関し本症例、家族に説明し同意を得ている。<BR>【結果】感覚アプローチを施行して約2週間後、慢性期意識障害スケールは8点から14点(状態スケール3点から5点、反応スケール5点から9点)に、JCS は20から2~10、GCSの開眼は2から3~4、言語反応は変化なし、運動反応は1から2に改善した。BRSの上肢・下肢Stageは1~2から2、手指stageは1から2へ、追視は(±)から(+)へ、眼球の左側偏位は変わらないものの右側への運動が可能となった。その他の評価は変化がなかったものの、病棟スタッフや家族からは開眼している時間や声かけによる反応、表情の変化の改善が聞かれた。また、繰り返していた熱発も減少した。<BR>【考察】残存している口腔機能に着目し、味覚を用いた感覚アプローチを行うことにより、意識障害等の改善を認めた。味覚に関する神経は副交感神経を含んでいることからアセチルコリンの作用が考えられており、小山、高橋らは覚醒の開始には先行的にアセチルコリンの活性度が上昇し、モノアミン核や他の網様核の活動を興奮させる作用があると述べている。これらの作用により脳幹網様体の活性化が図られ、アプローチを継続することで覚醒度が改善したと考えられる。また、単に口腔にアプローチをするのではなく生活史や症例の好み等を考慮することで、身体の内部環境に働きかけ患者自身に気づきを与え、自ら外部環境への働きかけを行うことが相互関係を強化し、意識状態等の改善に至ったと考えられる。また、本症例はJCSやGCSよりも慢性期意識障害スケールのように身体反応に対して細かに評価できるものが有用であると考えられる。<BR>【理学療法学研究としての意義】解剖・生理学的観点から残存神経機構を理解し、残存能力へのアプローチを考慮することが重要であると思われる。また、慢性期意識障害スケールのような身体反応に対して細かに評価できるものを使用することが本症例のような場合には有用であると考えられる。その他、治療者の態度として小さな変化に気付くことやあきらめずにアプローチすることが必要である。<BR>
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2009 (0), B4P2145-B4P2145, 2010
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205571651072
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- NII Article ID
- 130004582142
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed