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腹圧呼吸練習を併用した腹部引き込み運動による腹横筋収縮能力の向上

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【目的】近年、腹横筋を始めとする体幹深層筋群の働きを向上させ、腰椎の分節的安定性を獲得することで、腰痛や動的な脊椎安定化に好影響であることが報告されている。腹横筋の収縮に関して、樋口(2002)、上村(2008)の超音波画像診断装置を用いた研究により、腹横筋の選択的収縮を伴う腹部引き込み運動(abdominal draw-in)を行うことで腹横筋の収縮が見られたことが報告されている。しかしながら、腹横筋の収縮は非日常的な運動であり、効率的な獲得方法を検討した研究は少ない。我々は、安静呼気(FRC)位から腹筋群を収縮させて呼気を行う腹圧呼吸(campbell 1955, 溝呂木1991)を繰り返しながら腹部引き込み運動を同期させることで、強制呼気で働くとされている腹横筋の活動が向上し、腹横筋をより収縮させることが可能であると仮説を立てた。本研究では、健常者を対象として、2種類の運動課題を課し、腹部引き込み運動の獲得の程度に関して、超音波画像診断装置による腹横筋筋厚の変化を観察し、その運動課題の効果を検証することを目的した。【方法】対象は健常男性18名、女性5名(年齢20.7±0.8歳)とした。腹横筋筋厚の測定はリニア型プローブを装着した超音波画像診断装置(本多電子株式会社製HS-1500)を用いてBモード法、空間分解能7.5MHzで測定した。腹横筋測定部位は村上ら(2010)の方法を参考とし,背臥位で臍レベルの水平線と左前腋窩線上の交点から前内方の部分とした。実験手順は、被験者を無作為に腹圧呼吸運動実施群(腹圧呼吸群)、腹部引き込み運動実施群(Draw-in)群の2群に分けた。腹横筋筋厚は被験者ごとに、安静時(Cont1)、1分間安静後(Cont 2)、各運動課題実施後の計3回測定した。測定時の条件を統一するため、最大限に腹部を引き込ませた状態で腹横筋筋厚の測定を行った。運動課題として腹圧呼吸群は吸気2秒、呼気4秒の腹圧呼吸を20回実施し、呼気時になるべく臍部がへこむよう指導した。Draw-in群は、臍部を引き込ませ、20秒間筋収縮を維持させる等尺性運動を2回実施した。統計学的処理は、各課題・各施行における腹横筋筋厚の平均値について、IBM SPSS Statistics Ver.19を用いて、二元配置分散分析を行った。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】ヘルシンキ宣言及び厚生労働省の「臨床研究に関する指針」に沿って研究を計画・実施した。被験者には、本研究の目的と内容を説明し、同意を得た。【結果】腹圧呼吸群における腹横筋筋厚の平均(±SD)は、Cont1では6.5±1.6mm、Cont 2では6.3±1.8mm、腹圧呼吸課題後7.3±2.1mmであった。Cont 1-2間で有意差みられなかった。Cont 1-腹圧呼吸課題後、Cont 2-腹圧呼吸課題後間では有意な筋厚の増加が見られた(p<0.05)。Draw-in群ではCont 1は6.5±1.3mm、Cont 2は6.5±1.2mm、Draw-in実施後6.9±0.8mmであり、各施行間に有意差はみられなかった。なお、腹圧呼吸群とDraw-in群間には有意な差がなかったが、腹圧呼吸群の方が腹横筋筋厚が増加する傾向にあった。【考察】腹圧呼吸群において、課題実施後に有意な筋厚増加が見られた。一場ら(2002)は、吸気負荷増大時に頚部筋群、呼気負荷増大時に腹部筋群の活動が高まったことを報告している。呼気時に腹部筋群が活動する腹圧呼吸運動に加え、臍部をへこませる腹部引き込ませ運動を行わせたことにより,生理的な呼吸運動と同期させた腹横筋の収縮が繰り返され、より強度な腹部の引き込みが可能となったと考えられる。小泉(2009)は、体幹の安定性を得るためのトレーニング段階として、(1)胸郭・股関節の可動性を得る、(2)腹部引き込み運動による腹圧の獲得、(3)上下肢と連動、(4)無意識過での固定の順で実施することを提唱している。非日常的な腹部引き込み運動を学習するための練習課題として、腹圧呼吸練習を併用した腹部引き込ませ運動を用いることで、より強度な腹横筋の収縮が得られることが超音波画像より明らかとなり、我々の仮説は実証された。【理学療法研究としての意義】体幹の安定性を得るトレーニングの初期段階として、腹横筋の収縮を学習する段階において、本実験で用いた腹圧呼吸練習を併用した方法が有用である可能性が示唆された。

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