第47回理学療法士国家試験の点数に影響を及ぼす科目について

DOI
  • 山田 将弘
    学校法人福岡保健学院小倉リハビリテーション学院理学療法学科
  • 吉田 修一
    学校法人福岡保健学院和白リハビリテーション学院理学療法学科
  • 兒玉 隆之
    学校法人福岡保健学院和白リハビリテーション学院理学療法学科
  • 木村 公治
    学校法人福岡保健学院和白リハビリテーション学院理学療法学科
  • 落合 裕之
    学校法人福岡保健学院下関看護リハビリテーション学校理学療法学科
  • 橋本 勝彦
    学校法人福岡保健学院八千代リハビリテーション学院理学療法学科
  • 磯邊 恵理子
    学校法人福岡保健学院小倉リハビリテーション学院理学療法学科
  • 山名 伸
    学校法人福岡保健学院統括部長

書誌事項

タイトル別名
  • 多重ロジスティック回帰分析を用いて

抄録

【はじめに、目的】学校法人福岡保健学院は、福岡県2校、佐賀県1校、山口県1校、千葉県1校を抱える組織である。専門学校教育における国家試験へ向けた取り組みは、最も重要な取り組みの一つであると思われる。本研究の目的としては、合格・不合格に影響を及ぼしている領域(科目)を見出すこととした。そして、一定の傾向が得られたためここに報告する。【方法】第47回理学療法士国家試験を受験した福岡保健学院の福岡県2校、山口県1校、千葉県1校の計4校の既卒生を含む理学療法学科352名を対象(合格者304名、不合格者48名)とし、自己採点結果をマークシートへ写し、マークシート読み取り機器(SEKONIC CORPORATION社製OPTICAL MARAK READER SR-2300)を用いて、その結果から多重ロジスティック回帰分析を行った。国家試験問題の領域は、国家試験出題ガイドラインを基に、分析を行った以外の複数の専任教員で専門分野14領域(基礎理学療法学、理学療法評価学、整形系障害理学療法学、脳血管系障害理学療法学、神経筋疾患、義肢装具学、小児疾患理学療法学、内部障害系理学療法学、臨床運動学、運動療法学、日常生活活動学、物理療法学、脊髄損傷理学療法学、地域理学療法学)、専門基礎分野11領域(解剖学、生理学、運動学、病理学、心理学、リハビリテーション概論、内科学、整形外科学、人間発達学、神経内科学、精神医学)の計25領域とした。また、各分野の得点は専門分野を180点満点、専門基礎分野を100点満点とし計算を行った。国家試験の合格・不合格を従属変数とし、独立変数を上記の25領域とした変数減少法を用いた解析を行った。また多重ロジスティック回帰分析から得られた結果より、合格群、不合格群の2群に分け、2標本t検定を行い感度と特異度をそれぞれ求めた。統計学的有意水準は5%とした。なお、統計解析ソフトはStat flex Ver4.1を使用した。【倫理的配慮、説明と同意】ヘルシンキ宣言に則り、個人データに配慮した上で、匿名化されたデータを使用し検討を行った。また、本学院の承認を得て行った。【結果】多重ロジスティック回帰分析の結果、国家試験の合否に影響を及ぼす有意な領域として、小児疾患理学療法学(p=0.00170)、解剖学(p=0.00198)、整形系障害理学療法学(p=0.00315)、脊髄損傷理学療法学(p=0.00400)、脳血管系障害理学療法学(p=0.00444)、理学療法評価学(p=0.00477)、地域理学療法学(p=0.00499)、生理学(p=0.00594)、運動学(p=0.00598)、物理療法学(p=0.00760)であった。感度・特異度は、小児疾患理学療法学で感度0.73・特異度0.65、解剖学で感度0.84・特異度0.73、整形系障害理学療法学で感度0.69・特異度0.60、脊髄損傷理学療法学で感度0.68・特異度0.52、脳血管系障害理学療法学で感度0.70・特異度0.60、理学療法評価学で感度0.73・特異度0.67、地域理学療法学で感度0.43・特異度0.75、生理学で感度0.84・特異度0.56、運動学で感度0.65・特異度0.81、物理療法学で感度0.76・特異度0.50であった。【考察】本研究の結果、国家試験の合否に影響を及ぼす有意な領域として、小児疾患理学療法学、解剖学、整形系障害理学療法学、脊髄損傷理学療法学、脳血管系障害理学療法学、理学療法評価学、地域理学療法学、生理学、運動学、物理療法学の9領域が抽出された。これらは合格群と不合格群とで得点に有意差を認めた領域であり、各校別の領域抽出結果も類似していた。このことは学生からの観点に立てば、抽出された領域は学生層や地域性などの受動的側面よりも解答力や難易度などの能動的側面を反映したものと推測される。すなわち、学内において上記領域を活用した国家試験対策を構築することは専門学校教育上有意義な結果が得られるものと考える。本研究の今後の課題としては、抽出された国家試験の合格・不合格に影響を及ぼす“領域”を細分化し、領域から“項目”へと分析することで焦点を絞った効率的な学習を指導・教育することが可能になると考えられる。今後、多領域に跨って出題が増えることが予想されるが、その基礎にある各科目を分析することが効率的な学習につながると考える。【理学療法学研究としての意義】国家試験対策は多くの理学療法士専門学校で教育の一環と捉えられている。教員と学生とが重点領域を共有した教育を展開することは国家試験へ向けた取り組みを行う上で重要な意味を持つと考える。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2012 (0), 48100025-48100025, 2013

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205572806528
  • NII論文ID
    130004584625
  • DOI
    10.14900/cjpt.2012.0.48100025.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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