- 【Updated on May 12, 2025】 Integration of CiNii Dissertations and CiNii Books into CiNii Research
- Trial version of CiNii Research Knowledge Graph Search feature is available on CiNii Labs
- 【Updated on June 30, 2025】Suspension and deletion of data provided by Nikkei BP
- Regarding the recording of “Research Data” and “Evidence Data”
特発性正常圧水頭症における歩行能力の変化
Bibliographic Information
- Other Title
-
- ─CSF tap testおよびシャント手術前後における比較─
Description
【はじめに、目的】 特発性正常圧水頭症(idiopathic normal pressure hydrocephalus,iNPH)は歩行障害,認知障害,排尿障害を3徴とし,髄液シャント手術により症状の改善を得る疾患である。またiNPHの診断においては髄液排除試験(cerebrospinal fluid tap test,tap test)における歩行症状の改善は重要な因子の一つである。今回,tap testおよびシャント手術前後における歩行パラメーターの変化を調査したので報告する。【方法】 対象は2008年11月~2011年10月までにiNPH疑いにてtap testを施行した37例とした。このうち症状の改善を認めた18例をprobable群,改善を認めなかった19例をpossible群とした。tap testの効果判定はiNPH診療ガイドラインに準じ,施行前後においてJapanese NPH Grading Scale-Revised(JNPHGS-R)における歩行障害,認知障害,排尿障害の合計が1ポイント以上改善,Time Up and Go test(TUG)が10%以上改善,Mini Mental Sate Examination(MMSE)が3点以上の改善を陽性とした。また,シャント手術を施行した15例(probable群10例,possible群5例)のうち症状の改善を認めた13例(probable群10例,possible群3例)をdefinite群とした。測定項目は10m歩行試験による自由および最大歩行における速度と歩幅,TUGにおける秒数と歩数,歩隔,6分間歩行距離,MMSE,Barthel Index(BI),JNPHGS-Rとした。測定はtap test前後およびシャント術後7日目に実施した。統計はprobable群とpossible群のtap test前後における比較は対応のあるt検定を用いた。definite群におけるtap test前後,シャント手術後における比較は2元配置分散分析および多重比較法(Tukey法)にて行った。危険率5%未満を有意水準とした。【倫理的配慮、説明と同意】 測定は全例同意を得て実施した。またデータの集計は患者名をコード化し,個人が特定できないよう配慮した。【結果】 tap test前後におけるに比較ではprobable群は自由歩行速度0.57±0.28m/sから0.71±0.28m/s,歩幅31.5±14.0cmから37.2±13.8cm,最大歩行速度0.80±0.48m/sから0.97±0.46m/s,歩幅36.1±18.1cmから44.0±17.2cmと改善した(p<0.0001)。TUGにおける秒数は25.5±16.1秒から18.8±9.6秒(p=0.0044),歩数は42.0±28.9歩から30.1±15.4歩と減少した(p=0.0149)。6分間歩行距離は213.5±134.5mから239.9±139.6mと有意な改善を認めた(p=0.0002)。JNPHGS-Rは6.2±2.2点から5.5±2.2点と減少した(p<0.0001)。しかし歩隔,MMSE,BIは差を認めなかった。possible群は全評価項目において差を認めなかった。definite群はtap test前後では差を認めなかった歩隔はtap test前13.6±5.2cmからシャント手術後11.6±4.6cm,MMSEは20.8±5.8点から22.8±5.2点,BIは79.2±17.9点から84.2±13.8点と有意な改善を認めた(p<0.05)。またtap test後とシャント手術後における比較では6分間歩行距離,MMSE,JNPHGS-Rにおいて差を認めた(p<0.05)。その他の項目においては差を認めなかったが改善傾向を示した。【考察】 iNPHにおける歩行障害の特徴は歩幅の減少,足の挙上低下,歩隔の拡大が3徴候とされている。今回の調査ではtap test後に歩幅の拡大,歩行速度の改善を認め先行研究を支持する。歩隔はtap test後は差を認めなかったが,シャント後においてはtap test前と比較し有意に減少していた。iNPHにおける歩隔の拡大はバランス障害による不安定性により二次的に支持基底面を拡大し安定性を高めるためとされている。今回,シャント手術後においても歩行パラメーターは改善傾向にあり,歩行能力の改善により歩隔が減少したと考えられる。また,これらの症例に対しては総合的なバランス練習を含めた理学療法の必要性が示唆される。【理学療法学研究としての意義】 iNPHの診断において理学療法士による客観的な歩行評価はシャント手術の適応を正確に判断できることが示唆された。
Journal
-
- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
-
Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2011 (0), Ba0969-Ba0969, 2012
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
- Tweet
Keywords
Details 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205573357568
-
- NII Article ID
- 130004692690
-
- Text Lang
- ja
-
- Data Source
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- Abstract License Flag
- Disallowed