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運動療法としてのPilates効果の追求(第一報)

DOI
  • 長尾 知香
    医療法人 泰斗会 岩崎整形外科 リハビリテーション科
  • 清水 英里
    医療法人 泰斗会 岩崎整形外科 リハビリテーション科

Abstract

【目的】<BR>慢性腰痛は治療が長期化してしまうケースが多いが、我々はその1つの打開策として、患者自身による能動的運動療法が重要であると考える.我々理学療法士は、自己効力感の高いエクササイズを模索し、提供していく必要がある.そこで、エクササイズによって心身ともにセルフ・コントロールしていくことの重要性を唱えたJoseph Pilates氏によって考案されたPilatesエクササイズであれば、慢性腰痛の改善につながるのではないかと考えた.よって今回、実際にPilatesエクササイズが慢性腰痛患者に与える心身的効果、エクササイズの自己効力感について検証した.<BR>【方法】<BR>対象は3ヶ月以上腰痛が持続している患者で、本研究の概要を説明し同意が得られた患者7名(女性7名、平均年齢78.4歳).除外基準は、脊椎疾患に対する手術の既往、重度の骨粗鬆症、内科的リスクを有する者とした.本研究は、無比較介入研究であり、介入はPilatesエクササイズとした.3か月間、週2回Pilates専用器具Reformer(PEAK Pilates System)を使用し、特定のエクササイズ4種類を来院時に実施した.さらに、特定の5種類のマット・ピラティス・エクササイズをホーム・エクササイズとして、できるだけ毎日実施するよう指導した.評価項目は、Roland-Morris Disability Questionnaire(以下RDQ)、日本整形外科学会腰痛疾患治療成績判定基準(以下JOAスコア)、胸郭拡張差(剣状突起上)、指床間距離(以下FFD)、Functional Reach Test(以下FR)、Timed up& go、脊柱アライメント(胸椎後弯角、腰椎前弯角)とした.胸椎後弯角、腰椎前弯角については、放射線技師によって撮影された、自然立位での単純エックス線写真側面画像より計測した.用いたパラメーターは、胸椎後弯角(T5-T12)、腰椎前弯角(L1-S1)とした.これらの評価項目を介入前後で測定し、t検定もしくはWilcoxon符号付順位和検定にて統計処理を行ない、有意水準を5%未満とした.また、最後にホーム・エクササイズ実施の頻度とPilatesエクササイズの自己効力感について、アンケート調査を実施した.<BR>【説明と同意】<BR>被験者には書面にて研究内容を十分に説明し、ヘルシンキ宣言に基づき了承と同意サインを得た.<BR>【結果】<BR>介入前後において、FFD、胸椎後弯角、JOAスコア心理的障害項目に有意差を認めた.その他評価項目においては、両者の間に有意差は認められなかった.ホーム・エクササイズ実施の頻度は、ほぼ毎日が2名、週4-5回が1名、週2-3回が2名、週1-2回が2名であった.Pilatesエクササイズの自己効力感については、「十分にあった」が4名、「少しあった」が3名であった.<BR>【考察】<BR>胸椎後弯角については、対象者にkyphosis postureが多かったこと、胸椎伸展方向へフォーカスしたエクササイズが多かったことにより、胸椎後弯角が減少したと考えられる.しかしながら、腰椎前前弯角に有意差がみられなかったのは、骨盤後傾位・腰椎フラットであったタイプは、骨盤が中間位に近づき重心が前方へ移動したことに伴い腰椎前弯が増大し、腰椎前弯が強かったタイプはエロンゲーションにより前弯角が減少したと推察される.よってこれは脊柱の特異性により、反応が異なる為と考えた.FFDについては、脊柱の長軸方向への可動性の改善が得られたと考えられる.JOAスコアの心理的障害項目については、Pilatesは心と体の結びつきを重視して考えられたエクササイズである為、姿勢の改善などの身体的な改善が心理面への改善にもつながったと考える.また、アンケート結果から、自己効力感の高さとセルフ・エクササイズの実施頻度の高さが認められ、これらも上記の結果を裏づけするものと考える.<BR>よって、今回の研究から、腰痛の改善までには至らなかったが、Pilatesの効果として、姿勢の改善、長軸方向への脊柱可動性の増大、腰痛によるストレスの改善が証明された.<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>最近、特にボディ・ワークが注目を集めているが、その臨床応用での研究報告は、数少ない.また、心身相関へ着目したアプローチも唱えられてきているが、その心と体との関係性を、具体的な運動療法としてのエクササイズとして、また手段的レベルとしてPilatesエクササイズを捉え、その有用性や効果を問うたものも、まだ見受けられない.リハに応用していくためには、単に「気持ちいい」や「やった後に足が軽くなる」といった自己効力感だけでなく、その裏づけとなるエビデンスの構築、検証が必要であると考える.

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Details

  • CRID
    1390001205573721344
  • NII Article ID
    130004581896
  • DOI
    10.14900/cjpt.2009.0.a4p2089.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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