当院リハビリテーション部における高齢者の退院支援の現状と課題

DOI
  • 宮原 小百合
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 柴田 大輔
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 村上 峰子
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション科

書誌事項

タイトル別名
  • ~地域包括ケアシステム構築の観点から~

抄録

【目的】我が国の高齢化は世界に例がなく,「2025年問題」と呼ばれる団塊世代が後期高齢者となる時期に備えて社会政策の拡充が急務である。最前線の施策として2011年の介護保険制度改正で「地域包括ケアシステム」の整備が打ち出された。なかでも「介護と医療との連携強化」が重要とされ,リハビリテーション(以下リハ)に期待される役割の一つに「退院支援の機能強化」が挙げられている。そこで,当院リハビリテーション部における高齢者の退院支援に関して介護保険利用の観点から現状を調査し,地域包括ケアシステム構築に向けた課題を検討した。【方法】2013年10月から2014年3月までの6か月間に退院した4973名中,リハ介入したのは960名であった。その中で自宅退院した65歳以上の患者438名(74歳以下188名,75歳以上250名)のうち,介護保険利用を検討した85名(74歳以下24名,75歳以上61名)を対象とした(全て延べ数)。入院期間は平均26.9±20.9(3~103,中央値18)日であった。リハ担当者が実施した退院支援として,介護支援専門員との情報共有,多職種カンファレンス参加,退院前訪問指導の実施率を調査した。【結果と考察】急性期病院の退院支援で重要とされる介護支援専門員との情報共有,多職種カンファレンス,退院前訪問指導の実施率はそれぞれ28.2,17.6,2.4%であり,いずれかの退院支援を実施したのは37.6%と低かった。高齢者は入院を契機に容易に生活が変化することを踏まえ,まずは早期に介護支援専門員との情報共有を促進すべきである。また,後期高齢者で介護保険利用を検討したのは24.4%にとどまっており,利用の適応を見直す必要性が示唆される。地域包括ケアシステムで重要な「退院支援の機能強化」への取り組みは急性期病院のリハ専門職に期待される役割であり,入院というライフイベントが生活再建のきっかけとなるよう,患者の個別性に合わせたシステムの構築を図りたい。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205574848512
  • NII論文ID
    130005416640
  • DOI
    10.14900/cjpt.2014.1676
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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