等尺性随意収縮の運動強度,運動時間の違いが皮質脊髄路の興奮性に与える影響

DOI
  • 立木 翔太
    新潟医療福祉大学運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学理学療法学科
  • 佐々木 亮樹
    新潟医療福祉大学運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学大学院
  • 小丹 晋一
    新潟医療福祉大学運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学大学院
  • 中川 昌樹
    新潟医療福祉大学運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学大学院
  • 宮口 翔太
    新潟医療福祉大学運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学大学院
  • 小島 翔
    新潟医療福祉大学運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学大学院
  • 犬飼 康人
    新潟医療福祉大学運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学大学院
  • 齊藤 慧
    新潟医療福祉大学運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学大学院
  • 大西 秀明
    新潟医療福祉大学運動機能医科学研究所

抄録

【はじめに,目的】随意運動後に一次運動野の興奮性が一時的に増加または減少することが報告されている。この現象は運動後促通(PEF)または運動後抑制(PED)と呼ばれている。Samiiら(1996)は,50%最大随意収縮(MVC)を30秒間行うと課題終了直後には皮質脊髄路の興奮性が増加し,PEFが観察され,同条件で疲労を伴うまで運動継続した場合には,課題終了後に皮質脊髄路の興奮性が低下し,PEDが認められたことを報告している。さらに,20% MVCを10秒間行うと,4分間にわたりPEFが認められることと,10から50%MVCをそれぞれ30秒間施行すると,強度の違いによるPEFの大きさには有意な差が認められなかったことを報告している。そこで,本研究では,運動強度と運動時間を変化させた時の皮質脊髄路の興奮性の経時的な変化を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は健常成人9名であった(22.1±2.7歳)。皮質脊髄路の興奮性の評価には,経頭蓋磁気刺激(TMS)によって誘発される運動誘発電位(MEP)を使用した。刺激部位は左一次運動野手指領域とし,右第一背側骨間筋からMEPを導出した。磁気刺激強度は,課題前に約1 mVのMEP振幅値を導出する強度とした。随意運動課題は,運動強度をMVCの30%と50%,運動時間を15秒と30秒とし,合計4条件とした。被験者は1回の実験で4つの課題をランダムな順序で実施した。各課題間は10分間の休息を設けた。MEPは課題前(pre),課題終了後0分から5分までの1分毎(post 0-4)に各12波形計測した。解析対象は,MEP振幅値とし,各時間において得られたMEP振幅12波形のうち最大と最小を除いた10波形を加算平均しpeak to peak値を算出した。統計解析には,時間要因(pre,post 0-4)と課題要因(30%MVC 15秒,30%MVC 30秒,50%MVC 15秒,50%MVC 30秒)で反復測定二元配置分散分析を使用し,事後検定にはFisher's LSD法を用いた。有意水準は5%とした。【結果】反復測定二元配置分散分析の結果,時間要因で主効果が認められたが(P<0.05),課題要因での主効果および交互作用に有意な差は認められなかった。時間要因で事後検定を行った結果,pre(0.95±0.01 mV)に対して,post 1(1.19±0.06 mV)からpost 4(1.4±0.1 mV)までMEP振幅の有意な増大を認めた(P<0.05)。【結論】30%MVC 15秒,30%MVC 30秒,50%MVC 15秒,50%MVC 30秒の4条件で右示指外転等尺性随意収縮を行うと,preに対してpost 1からpost 4までPEFが認められ,運動強度および運動時間に影響されないことが明らかになった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205574860672
  • NII論文ID
    130005417375
  • DOI
    10.14900/cjpt.2015.0399
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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