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初めての臨床実習にて学生が積極性を持って取り組むことができなかった行動とその理由とは
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【はじめに、目的】 学生にとって臨床実習(以下,実習)は,学内のPassive learning(受動的学習)からActive learning(能動的学習)へ,いかにシフトするかということが重要となる.そのような実習にて学生が,臨床実習指導者(以下,指導者)から「積極性がない,との指摘を受けることがある.これは,臨床実習評価において,しばしば問題視される点である.積極性とは,自ら進んで物事を行う性質である.そこで本研究の目的は,理学療法実習において,学生が,積極性を持って実習に取り組むことができなかった行動とその理由について調査することである.【方法】 <対象>平成22年度および23年度1年次実習(見学実習で、期間は1週間)に参加した本学の130名の学生(男性101名,女性29名)であった. <調査票>筆者が独自に作成した調査票を用い,質問内容は,「実習において,積極性のなかった行動はどのような行動であったか.何故,積極性がなかったのか理由を記載してください」という自由記載形式で回答を求めるものであった. <分析>得られた回答をキーワード,キーセンテンスにて細分化し,KJ法を用いてカテゴリーに分類した.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は,大阪河﨑リハビリテーション大学(以下,本学)倫理委員会規則に従うもので(承認番号OKRU2211),調査にあたっては,対象者に本研究の主旨を説明し,同意を得た.【結果】 キーワードにて積極性がなかった行動をカテゴリー分類したところ,「質問すること」,「指導者や他のスタッフに挨拶や会話をすること」,「患者に問診(会話)すること」,「したいことをお願いすること」,「自分の意見を言うこと」,「自己学習すること」,「実習への取り組み姿勢を正すこと」に分類した.また,キーセンテンスにて積極性がなかった理由をカテゴリー分類したところ,『緊張したから』,『(何を尋ねるのか,何をするのか,質問して良いのか,どのタイミングでするのか,知識が不足しているので)分からなかったから』,『遠慮したから』,『不安(怖い)であったから』,『恥ずかしかったから』,『自信がなかったから』,『もともとの(ネガティブな)性格だから』,『実習に臨む心構えや取り組み姿が不十分だったから』,『コミュニケーション力がなかったから』に分類した.【考察】 初めて実習に参加した1年生は,理学療法士としての臨床的な知識や経験はほとんどない.したがって,実習中にできることは,指導者や他スタッフが担当患者に対し理学療法を実施している場面を見学すること,患者に対し挨拶や医療面接などを実施することが主となる. 今回の調査結果から,学生は,指導者らや患者に対し,質問(会話)をしても良いのか,何を質問すればよいのか,どのようなタイミングで質問や会話をすれば良いのかが分からなかったことが明確になった.また,緊張しているうえに,知識不足により理解ができない,自信がないために質問や自分の意見を言うことができなかったことも判明した.恥ずかしいために,またはネガティブ思考な性格のために質問や会話をすること,したいことのお願いを避ける学生がいた.さらに学生の一部には,実習への理解が不十分であり実習に臨む態度を備えていないために実習期間中の自己学習を疎かにし,受動的な実習に留まった学生がいたこともわかった.また,こんな質問をすると叱られるのではないかと不安や恐怖心を抱く学生がいた.一方で,業務中の指導者や治療を受けている患者に対し,質問等の遠慮や学生なりの気遣いをする学生がいたことも分かった. 実習にて学生が自ら進んで行動を起こすようになるためには,実習前の学内にて,コミュニケーションスキルの向上や,より臨床に近い環境下での具体的な場面に応じた質問方法や内容に関する指導,演習等を経験させる取り組みや授業の工夫が必要である.また,このような経験を通し,学生に自信を付けさせることが必要であると思われる.さらに,指導者による実習開始時の学生への説明内容や配慮をお願いする必要があるものと考える. 今回の調査では,その対象を1年生に限定した.長期実習を経験した高学年生への調査では,異なる行動と原因が予測できる.今後の課題として,その結果を含め,学生が積極性を持って取り組むことができなかった行動とその理由の詳細を明らかにしたい.【理学療法学研究としての意義】 学生にとって臨床での理学療法を経験できる貴重な学外授業である実習での学習効果を高めるために,今回の研究で得られた結果は,臨床実習前の学内指導,および実習中の指導方法において非常に参考になり,実習における指導指針として意義のある研究と考える.
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2012 (0), 48101239-48101239, 2013
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205576256640
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- NII Article ID
- 130004585526
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed