理学療法士会の休会会員に対するアンケート調査

DOI
  • 清川 恵子
    社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部
  • 熊切 博美
    社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部
  • 寺尾 詩子
    社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部
  • 大槻 かおる
    社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部
  • 萩原 文子
    社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部
  • 大島 奈緒美
    社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部
  • 西山 昌秀
    社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部

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抄録

【はじめに、目的】神奈川県理学療法士会の会員ライフサポート部では、ライフサイクルと就業継続に関する問題をテーマに、本会員に対する実態調査、啓発活動、情報発信、会員支援事業を行っている。実態調査では、これまで会員を対象に出産・育児・介護に関する就業継続の問題について考えてきた。しかし、これらの調査は、離職中の会員からの回答は少なく、就業継続について問題を抱えている会員の意見が反映されているとは言い難いのが現状である。そこで、就業継続に関する問題点の把握や支援活動につなげていくことを目的に、これまで調査対象ではなかった休会会員の実態調査を行った。【方法】調査対象は、神奈川県理学療法士会会員3690名中、休会会員330名、調査期間は平成24年7月の1か月間で、方法は往復はがきを送付し、郵送にて回収した。質問紙の内容は、基本属性、休会理由、本会への要望、情報収集方法であり、基本属性以外は複数回答可とした。また、当部で行っている復職支援のための実務研修について、その存在の認知と、研修の受講希望の有無についての調査も行った。【倫理的配慮、説明と同意】調査実施時は調査依頼文にて目的や学会などでの公表を明記し、回答を得た時点で同意を得たものと判断した。【結果】有効回答者数は114名で、回収率は39.3%であった。回収率の内訳は、男性17.5%(20名)、女性81.5%(93名)、年代別には30歳代が最も多く62.2%(71名)、次に40歳代が29.1%(25名)、20歳代が11.4%(13名)、50歳代が2.6%(3名)、60歳代以上が1.8%(2名)の順であった。既婚者は81.6%(93名)、未婚者18.4%(21名)であった。現在、理学療法士(以下PT)として「働いている者」は47.3%(52名)、「働いていいない者」は52.6%(60名)であった。まず、休会理由として最も多かったのは、「出産・育児」であり48.2%(55名)、続いて「経済的問題」は30.7%、「結婚」は12.3%(14名)であった。休会理由の「その他」の項目で最も多かったのは、メリット・魅力を感じないが11.4%(13名)と、回答者の1割を占めていた。続いて、本会への要望について質問を行った。「必要な情報が得られること」は69.2%(79名)、「講習会に参加できること」は35.1%(40名)、「PTの社会的地位向上」は29.8%(34名)、「PT保険などのサービスの向上」は16.7%(19名)であった。さらに、本会への要望の「その他」の項目として、会費の検討や保育サービスの充実、職域の拡大が挙げられていた。休会会員の復職支援情報の入手方法において最も多かったのは、ホームページ35.1%(40名)であり、続いて入手困難は25.4%(29名)、周囲のPTは21.1%(24名)であった。また、当部で行っている復職支援研修について「知っている」は14.0%(16名)、「知らない」は81.5%(93名)であった。復職支援研修の受講希望については「受けたい」は45.6%(52名)であった。最後に自由記載において、復職への不安の訴えも複数記載されていた。【考察】ライフスタイルが変化することにより、就業継続困難な者は少なくない。今回の調査で結婚や出産・育児による離職と同時に休会会員となる者が多いことが分かった。また、再就職の際、休会会員になったことにより、必要な復職情報の入手ができていない場合も多かった。一方、会費を払って会員継続をするメリットがないとの回答もあった。しかし、復職支援研修について知らないが、知っていれば受講したいとの回答が多かったことから、離職中であっても、本会主催の研修会や支援情報などは役立つと考えられた。当部としては、何らかの理由で離職した場合でも、復職に必要な情報の発信や支援事業が行われていること、またそれらをわかりやすく伝えていくことが必要であると考えられた。【理学療法学研究としての意義】結婚や出産などのライフスタイルの変化による就労継続の問題を把握することは、必要な情報発信や支援活動につながり、有能な人材の確保になると考えられる。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2012 (0), 48101226-48101226, 2013

    公益社団法人 日本理学療法士協会

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