人工膝関節置換術の術後機能を予測する術前因子の検討

DOI
  • 片岡 亮人
    医療法人KAG 名古屋整形外科・人工関節クリニック リハビリテーション科
  • 山本 優理
    医療法人KAG 名古屋整形外科・人工関節クリニック リハビリテーション科
  • 鈴木 淳
    医療法人KAG 名古屋整形外科・人工関節クリニック リハビリテーション科
  • 鬼澤 理紗
    医療法人KAG 名古屋整形外科・人工関節クリニック リハビリテーション科
  • 藁科 秀紀
    医療法人KAG 名古屋整形外科・人工関節クリニック 整形外科
  • 加藤 充孝
    医療法人KAG 名古屋整形外科・人工関節クリニック 整形外科
  • 北村 伸二
    医療法人KAG 名古屋整形外科・人工関節クリニック 整形外科

抄録

【はじめに,目的】人工膝関節置換術(以下TKA)は,術後の機能回復に優れた成績を上げているが,機能回復が十分に得られない症例が散見される。術前から術後機能に影響を与える因子が同定できると,術後の患者満足度の向上に大変有用であると考えられる。そこで本研究では,人工膝関節置換術後の機能を予測しうる術前因子を検討することを目的とした。【方法】対象は,末期変形性膝関節症にて当院で2012年12月から2014年12月までにTKAを施行された266名のうち,研究に同意を得て継続的な検査計測を行うことができた61名(平均年齢73.0±6.5歳)とした。それぞれの患者において,術前に膝関節自動および他動ROM,膝関節伸展筋力,疼痛VAS(術側膝関節,非術側膝関節,腰部),JOA score,JKOMを測定した。膝関節伸展筋力はアイソフォースGT-360(OG技研社製)を用い,膝関節30°と60°屈曲位のそれぞれの最大等尺性収縮を2回測定し,最大値を採用した。統計処理は,3か月後のJKOM scoreと術前の各測定項目においてSpearmanの順位相関係数を算出した。有意水準は5%未満とした。【結果】TKA術後3カ月時のJKOM scoreと相関を認めた術前因子は,術側膝関節60°屈曲位膝関節伸展筋力(r=-045),術側膝関節疼痛(r=0.37),術前JKOM score(r=0.31),術側膝関節30°屈曲位膝関節伸展筋力(r=-028)であった。その他の項目に相関は認めなかった。【結論】TKA後の機能を術前から予測した先行研究において,術前の機能や疼痛が影響すると報告したものが散見される。本研究ではこれらの項目に加え,術前の膝関節60°および30°屈曲位での伸展筋力も導出された。JKOMの質問票では,しゃがみこみや布団の上げ下ろしの困難感など強度の筋力発揮が必要な場面の多くは膝関節屈曲位での動作が多くなっている。そのため,30°よりも60°屈曲位での伸展筋力と強い相関を得たのではないかと考える。術前よりこれらの項目を改善するリハビリテーションアプローチが重要であることが示唆された。

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205576658560
  • NII論文ID
    130005417307
  • DOI
    10.14900/cjpt.2015.0270
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ