トレッドミル歩行が関節固定と後肢懸垂によって生じた関節拘縮におよぼす影響

DOI
  • 佐藤 勇太
    県立広島大学大学院総合学術研究科 医療法人宗斉会須波宗斉会病院
  • 小野 武也
    県立広島大学大学院総合学術研究科 県立広島大学保健福祉学部理学療法学科
  • 石倉 英樹
    広島都市学園大学健康科学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
  • 相原 一貴
    県立広島大学大学院総合学術研究科
  • 小林 茉由
    県立広島大学保健福祉学部理学療法学科
  • 田坂 厚志
    大阪保健医療大学保健医療学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
  • 梅井 凡子
    県立広島大学大学院総合学術研究科 県立広島大学保健福祉学部理学療法学科
  • 積山 和加子
    県立広島大学保健福祉学部理学療法学科
  • 沖 貞明
    県立広島大学大学院総合学術研究科 県立広島大学保健福祉学部理学療法学科

書誌事項

タイトル別名
  • ―ラットを用いた実験的研究―

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p></p><p></p><p>関節拘縮は日常生活に支障をきたすため,治療が重要である。特に下肢の非荷重を伴う関節不動により生じた関節拘縮は,関節不動によって生じた関節拘縮よりも重症化するため,治療に難渋することが予測される。トレッドミル歩行は,関節不動により生じる関節拘縮の治療効果が報告されているが,下肢の非荷重を伴う関節不動により生じる関節拘縮に対する治療効果に関する報告はない。本研究の目的は,トレッドミル歩行が下肢の非荷重を伴う関節不動によって生じた関節拘縮におよぼす影響を明らかにすることである。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p></p><p></p><p>対象は10週齢のWistar系雄ラット20匹とした。実験期間は2週間である。すべてのラットに1週間の関節固定と後肢懸垂を行った。その後,1週間のトレッドミル歩行(以下,運動介入)負荷量により5匹ずつ4群に振り分けた。群分けは自由飼育をする固定懸垂群,1日20分行う運動20分群,40分行う運動40分群,60分行う運動60分群の4群とした。関節固定はラット右足関節を最大底屈位に保持して実施した。後肢懸垂はラット尾部に鋼線を刺入し,ナスカンフックを介して飼育ケージの天井金網に掛けて実施した。運動介入は,1日1回,速度10 m/min,傾斜10°の負荷で計7日実施した。評価項目は,実験開始前,関節固定と後肢懸垂解除直後,および運動介入後の右足関節背屈角度と,運動介入後のヒラメ筋の伸張性とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p></p><p></p><p>足関節背屈角度に関して,群と測定時期には交互作用がなく,測定時期による影響のみを受けており,すべての測定時期の間に有意差を認めた。すべての群の関節固定と後肢懸垂解除直後の足関節背屈角度は,実験開始前と比較して有意に減少した。すべての群の運動介入後の足関節背屈角度は,関節固定と後肢懸垂解除直後と比較して有意に増加したが,実験開始前と比較して有意に減少していた。運動介入後における運動20・40・60分群の足関節背屈角度やヒラメ筋の伸張性は,固定懸垂群と比較して有意差がなかった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p></p><p></p><p>トレッドミル歩行は関節拘縮の回復を早めるという報告がある。本研究において,運動介入後における運動20・40・60分群の足関節背屈角度やヒラメ筋の伸張性は,固定懸垂群と比較して差がなかった。このため今回の運動負荷は下肢の非荷重を伴う関節不動により生じた関節拘縮の回復を早めるには不十分であったと推測される。一方,過度のトレッドミル歩行は関節拘縮の回復を遅延させるという報告がある。本研究でも運動時間が長くなると関節拘縮の回復は遅延すると推測した。しかし本研究結果から,今回の運動負荷では60分実施しても関節拘縮の回復を遅延させる負荷でないことが分かった。今後の研究では速度や傾斜,頻度などの負荷量も検討したい。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205577285120
  • NII論文ID
    130005608710
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.0672
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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