運動機能の異なる訪問リハビリテーション利用者3症例における身体活動量の変化特性

DOI
  • 尾川 達也
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 喜多 頼広
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 中原 彩希
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 石垣 智也
    訪問看護リハビリステーションフィットケア
  • 松本 大輔
    畿央大学健康科学部理学療法学科

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>近年,高齢者の活動指針として運動以外の身体活動が注目されており,運動の習慣化だけでなく座位行動の削減に向けた取り組みが進められている。一方,訪問リハビリテーション(訪問リハ)では疾病を有するものが対象となるため,その重症度や背景因子も含めた包括的な視点で取り組む必要があり,各利用者で座位行動を削減するための戦略や標的となる身体活動は異なることが考えられる。本研究では運動機能の異なる3症例を対象に,訪問リハを通した身体活動量の変化特性について活動量計を用いて調査することを目的とした。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は回復期リハ病棟退院後に訪問リハを開始した3症例である。症例1は要介護2の大腿骨頸部骨折を受傷した90歳代男性で歩行能力は屋内伝い歩き(自立)/屋外歩行車歩行(見守り)であった。症例2は要支援2の腰椎椎体骨折を受傷した80歳代女性で歩行能力は屋内独歩(自立)/屋外杖歩行(見守り)であった。症例3は要介護3の脊髄梗塞を発症した80歳代男性で歩行能力は屋内歩行器歩行(自立)/屋外歩行器歩行(軽介助)であった。各症例における訪問リハの目標として,症例1は散歩や筋力増強運動の習慣化と自宅内の役割再開,症例2は屋外への社会参加の促進,症例3は妻との歩行練習やペダリング運動の習慣化と通所介護への参加を設定した。身体活動量の評価は活動量計(HJA-750C Active style Pro,オムロンヘルスケア社製)を用い,訪問リハ開始時と3ヶ月後に7日間の測定を行った。分析方法は活動強度別に1.5 Mets以下の座位行動,1.6-2.9 Metsの低強度活動,3.0 Mets以上の中高強度活動の時間を算出した。また,座位行動の中断(Break)回数と10分未満・以上継続する低強度以上の身体活動(Bout)回数も算出した。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>1時間当たりの身体活動量の結果,症例1では座位行動時間の減少(48.4±3.6分→41.7±2.7分)とBreak回数の増加(3.1±0.8回→4.0±0.7回)を認め,Bout回数では10分未満(1.3±0.6回→1.9±0.4回),10分以上(0.2±0.1回→0.5±0.1回)ともに増加した。症例2では座位行動時間(35.9±3.6分→27.1±2.1分),Break回数(5.0±0.9回→4.8±0.3回)ともに減少を認め,Bout回数では10分以上でのみ増加した(0.7±0.1回→1.2±0.2回)。症例3では座位行動時間の変化はなかったが(54.0±1.0分→54.4±1.3分),Break回数(1.7±0.3回→2.0±0.3回)と10分未満のBout回数(0.8±0.4回→1.0±0.2回)で若干の増加を認めた。訪問リハの目標に関して症例1と症例2では全て達成したが,症例3では妻との歩行練習が習慣化せず部分的な達成となった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>今回の結果,訪問リハを通した身体活動量の変化は運動機能の違いによってその内容が異なることが確認された。訪問リハ利用者の自立支援を促進するためにも,各利用者の標的となる身体活動を明確化し,その増進/管理に向けて取り組んでいくことが重要であると考える。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205577562112
  • NII論文ID
    130005609351
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.1348
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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