吸気筋トレーニングにおける負荷圧の変化に伴う吸気筋の筋活動の特徴

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【はじめに,目的】慢性閉塞性肺疾をはじめとする呼吸器疾患の呼吸筋力を向上させる方法として,吸気筋トレーニング(inspiratory muscle training:以下IMT)がある。IMTにおいて,負荷圧の違いとその効果については多く検討されてきた。しかし,負荷圧の増加に伴う吸気筋活動の変化について検証している研究は少ない。そこで,本研究ではIMT時の吸気筋活動を測定し,負荷圧の変化による吸気筋活動の違いについて明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,呼吸器疾患の既往のない健常男子大学生20名(年齢:22±1歳,BMI:21.9±2.7)である。対象には,呼吸筋トレーナーであるPOWERbreathe™ PLUS(HaB社)を使用し,最大吸気口腔内圧(maximal inspiratory pressure:以下PImax)の0%(無負荷),20%,40%,60%,80%の5段階の負荷圧で吸気抵抗負荷呼吸を実施させた。IMT時に,右横隔膜筋厚(以下Tdi)をデジタル超音波診断装置HI-VISION Avius(日立アロカメディカル社),右胸鎖乳突筋の筋活動量を表面筋電計ME-3000P(Mega Electronics社)にて測定した。Tdiは,プローブを右側中腋窩線から前腋窩線間の第8または9肋間(Zone of Apposition)の体表に置き,Bモードで描出した。残気量位から全肺気量位のTdiの変化量を求め,横隔膜筋厚変化率(以下ΔTdi%)を算出した。表面筋電計電極は,胸鎖乳突筋の筋腹中央部に筋繊維の走行に沿って貼付した。筋活動量の解析は,筋電図波形を100msec毎の交流実効値(Root Mean Square:RMS)に変換し,最大等尺性収縮時の筋電活動(maximum voluntary contraction:MVC)に対する百分率(%MVC)として正規化した。統計解析は,各抵抗負荷圧におけるΔTdi%と胸鎖乳突筋の筋活動量の差を明らかにするため一元配置分散分析を用いた。また,各群間の差を明らかにするために事後検定としてbonferroniの調整による多重比較検定を行った。統計処理には,SPSS version 21(IBM社)を用い,有意確率は5%未満とした。【結果】ΔTdi%の平均は,負荷圧がPImax 0%,20%,40%,60%,80%と増加するに従い,112.6±60%,140.9±51%,152.7±58%,100.5±60%,55±38%と変化し,PImax 0%では80%,PImax 20%では60%と80%,PImax 40%では60%と80%,PImax 60%では80%と有意差が認められた。胸鎖乳突筋の筋活動量は,負荷圧の増加に伴い有意に増加し,PImax 0%と20%,40%,60%および80%,PImax 20%と60%および80%,PImax 40%と60%および80%,PImax 60%と80%で有意差が見られた。【結論】本研究の結果,ΔTdi%はPImax 0%から40%の間にピークにむかえ,その後は負荷量の増加に伴い減少した。また,胸鎖乳突筋の筋活動量は負荷圧の増加に伴い段階的に増大するものの,PImax 20%から40%の間は変化に乏しかった。これらの結果から,PImax 60%以上の高負荷圧でのIMTは,吸気主動筋である横隔膜は活動が低下し,代償的に補助筋である胸鎖乳突筋の活動が大きく増加する可能性が示唆された。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205577576064
  • NII Article ID
    130005417774
  • DOI
    10.14900/cjpt.2015.0759
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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