呼吸数を規定した吸気筋トレーニングの効果について

DOI
  • 佐竹 將宏
    秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座
  • 伊東 知晃
    秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座
  • 佐々木 紀葉
    秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座
  • 大倉 和貴
    市立秋田総合病院リハビリテーション科
  • 高橋 仁美
    市立秋田総合病院リハビリテーション科
  • 菅原 慶勇
    市立秋田総合病院リハビリテーション科
  • 塩谷 隆信
    秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座

抄録

【はじめに,目的】日本理学療法士協会ガイドライン特別委員会による理学療法診療ガイドライン第1版では,慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する「呼吸筋トレーニングの介入」は推奨グレードB,エビデンスレベル1と高い。このガイドラインでは,呼吸筋トレーニングとして最大吸気口腔内圧(PImax)の30~60%,トレーニング期間として6~9週間が推奨されている。吸気筋トレーニングの時間については,従来から1日2回各15分間で効果があると示されている。しかし毎日30分間のトレーニングは継続性が難しい。そこで,呼吸数による吸気筋トレーニングに着目し,効果のある呼吸数と負荷量について検討した。【方法】対象は,呼吸・循環機能および口腔・胸郭運動に障害のない健常成人12名(年齢21.7±1.1歳,男性7名・女性5名,身長165.1±9.2cm,体重58.8±10.4kg,肺活量4.25±0.83L,1秒率87.8±7.9%,PImax 110.7±20.6cmH2O,PEmax 139.2±40.8cmH2O)であった。研究デザインは2つの吸気筋トレーニング群とコントロール群の3群に分けて実施した。吸気筋トレーニングは一定負荷と漸増負荷の2群を設定し,一定負荷は,PImaxの50%負荷にて呼吸数30回を3セット実施した。漸増負荷は,まずPImaxの30%負荷で呼吸数30回,次に50%負荷で30回,さらに70%負荷で30回実施した。コントロール群は15%負荷で行った。トレーニング頻度は1日1回。4週間毎日行った。評価は,肺機能検査とPImax・最大呼気口腔内圧(PEmax)の測定を,トレーニング前(pre),トレーニング開始2週間後,4週間後に実施した。吸気筋トレーニングには,パワーブリーズ(POWERbreathe,HaB International Ltd,UK)を用いた。【結果】4週間のトレーニング中に脱落する被験者はいなかった。pre時において各群の年齢,身長,体重,肺活量,1秒率,PImax,PEmaxに差はなかった。4週間の吸気筋トレーニングにおいて,一定負荷群,漸増負荷群,コントロール群ともに,肺活量,1秒率,PEmaxには,それぞれ有意な変化は認められなかった。PImaxにおいて,一定負荷群ではpre,2w,4wでそれぞれ122.0±24.4cmH2O,141.0±23.3cmH2O,159.6±20.6cmH2O,漸増負荷群ではそれぞれ103.9±20.9cmH2O,108.7±16.3cmH2O,120.8±17.2cmH2Oとなり,いずれも有意な増加が認められた(p<0.01)。またコントロール群ではそれぞれ106.4±16.3cmH2O,120.5±15.0cmH2O,120.8±16.3cmH2Oであり,有意な変化は認められなかった。吸気筋トレーニングの時間は,一定負荷群,漸増負荷群ともに10~12分で終了していた。【結論】本研究による呼吸数を規定した吸気筋トレーニングではその効果が認められたと同時に,実施時間も従来の半分以下であり,トレーニングの継続性に期待をもつことができた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205577611904
  • NII論文ID
    130005417822
  • DOI
    10.14900/cjpt.2015.0795
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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