間欠的な短時間高周波数末梢神経電気刺激が一次運動野の興奮性に及ぼす影響

DOI
  • 小丹 晋一
    新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学 大学院
  • 佐々木 亮樹
    新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学 大学院
  • 中川 昌樹
    新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学 大学院
  • 宮口 翔太
    新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学 大学院
  • 小島 翔
    新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学 大学院
  • 犬飼 康人
    新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学 大学院
  • 齊藤 慧
    新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学 大学院
  • 大西 秀明
    新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所

抄録

【はじめに,目的】末梢神経電気刺激は一次運動野の興奮性を変調させることが可能である。近年,我々は200 Hzの刺激頻度で5秒間の末梢神経電気刺激を施行することで刺激後約90秒間一次運動野の興奮性を増大させることと,刺激時間の延長に伴いその興奮性増大効果が延長することを明らかにした。しかし,末梢神経電気刺激は筋疲労を早期に引き起こしやすく(Sato, 2006),筋疲労は一次運動野の興奮性を低下させることが明らかになっている(Kotan, 2015)。そのため,一次運動野の興奮性増大を誘導するには筋疲労を引き起こさない間欠的な電気刺激を行う必要があると考えられる。しかし,末梢神経電気刺激の刺激サイクルが一次運動野の興奮性に与える影響について検討した報告は少ないのが現状である。そこで本研究は,短時間高周波数末梢神経電気刺激の効果をより持続させることを目的に,末梢神経電気刺激を繰り返し施行した際の一次運動野の興奮性増大効果を検討した。【方法】対象は健常成人12名(23.3±2.1歳)とした。末梢神経電気刺激は刺激部位を右尺骨神経,刺激頻度を200 Hz,刺激強度を運動閾値の110%強度と規定し,5秒間通電-90秒間休息-5秒間通電を行う刺激サイクルで実施した。皮質脊髄路の興奮性の評価には,経頭蓋磁気刺激により誘発される運動誘発電位(Motor evoked potential;MEP)を用い,右第一背側骨格筋より記録した。磁気刺激強度は安静時に1 mVのMEPが誘発される刺激強度とし0.2 Hzの刺激頻度で行った。30秒間のMEP計測を1セットとし,介入前に2セット(Pre1-2),一回目の電気刺激終了後に3セット(Post1-3),二回目の電気刺激終了後に6セット(Post4-9)計測した。またMEPの加算を行うために3分間以上の間隔を空け,上記の手順を3回繰り返し行った。解析対象は介入前後のMEP振幅とし,Pre1に対する変化率(MEP Ratio)を算出し,Pre2からPost9までの値を比較した。統計処理には反復測定一元配置分散分析を行い,事後検定にはFisher's LSD法を用いた。なお有意水準は5%とした。【結果】介入前後のMEP Ratioを比較すると,Pre2(109±5.8)に対してPost2(143±10.0),Post3(146±9.7),Post4(148±16.3),Post5(142±12.3),Post6(145±11.6),Post7(139±12.8),Post8(145±13.9)において有意な増大を認め(P <0.01),2回目の電気刺激後150秒後までMEPが増大していた。【結論】短時間高周波数末梢神経電気刺激を繰り返し施行することで,一次運動野の興奮性増大効果はより持続することが判明した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205578105088
  • NII論文ID
    130005417590
  • DOI
    10.14900/cjpt.2015.0584
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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