免荷後の再荷重時における神経―筋腱の応答

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抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>免荷装置を利用したリハビリテーションは,様々な疾患や障害に臨床応用されている。ヒトの荷重量変化に対する神経-筋の応答は,免荷条件でヒラメ筋の筋活動量が減少(e.g., Hwang, 2011)することが報告されているが,免荷からの再荷重時の神経-筋腱の応答は明らかにされていない。本研究の目的は,免荷後の再荷重時における神経-筋腱の応答を明らかにすることである。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は,神経学的・整形外科的疾患のない健常男性10名(平均年齢21.1±1.3歳)とした。測定肢位は立位として,Lower Body Positive Pressure(Alter G社製)を用いて荷重量を調整した。荷重量の変化は,自体重(Body Mass:BM)を100%BMと定義し,免荷条件では100%BM,50%BM,20%BMの順に免荷した。次に,再荷重条件では20%BM,50%BM,100%BMの順に再荷重した。その際の筋腱の形態的変化は,2台の超音波診断装置を用いて内側腓腹筋(MG),ヒラメ筋(SOL),腓腹筋アキレス腱(AT)を撮像し,Image Jを用いてMG筋束長,SOL筋束長,AT腱長を計測した。同時に,筋活動量の変化は,MGとSOLに表面筋電図を貼付して記録した。また,動作解析システムを用いて矢状面からカメラで撮影し,膝関節・足関節角度を算出した。統計解析は,荷重量変化に対するMGとSOLの筋束長とAT腱長の変化,MGとSOLにおける筋活動量の変化を反復測定による分散分析後,有意差がみられた場合にはPost-hocとしてBonferroni法を行った。なお,有意水準は5%とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>免荷条件では,100%BMに比べて50%BM,20%BMでSOLとMGの筋束長は有意に伸張し(P<0.001),AT腱長は有意に短縮した(P<0.001)。また,免荷に伴うMGとSOLの筋活動量は有意に減少した(P<0.001)。一方,20%BMから50%BM,100%BMへ再荷重していくと,再荷重条件下における同荷重時50%BMと100%BMで比較した時,100%BMの再荷重時のみSOLとMGの筋束長が免荷前より伸張位になり,AT腱長は短縮位になった(P<0.001)。しかしながら,SOLとMGの筋活動量は免荷と再荷重条件の同荷重時で有意な差が認められなかった。なお,すべての条件で膝関節・足関節角度には違いが認められなかった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>免荷後の再荷重では,筋が長いまま維持され,腱が短縮位にあった。再荷重による伸張位でのSOLとMGの筋束長は,身体運動中の神経-筋機能に影響する可能性があり,今後の課題となった。また,再荷重による短縮位でのAT腱長は,身体運動時の力発揮や腱の弾性利用の効率を低下させ,再荷重後の身体運動の運動効率は低下する可能性がある。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205578153472
  • NII論文ID
    130005608579
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.0495
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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