持久的運動に対して総仕事量を減少させたレペティション運動が動脈機能に及ぼす影響

DOI
  • 田村 靖明
    徳島県鳴門病院リハビリテーション部 徳島大学総合科学研究部
  • 三浦 哉
    徳島大学総合科学研究部
  • 出口 憲市
    徳島県鳴門病院リハビリテーション部

抄録

<p>【はじめに,目的】動脈硬化症の予防には,一般的に中強度持久的運動(CE)が推奨されている。近年,インターバル運動(IE)が,CE以上に動脈機能を亢進させ,CEより仕事量を減少させても,十分な動脈機能変化を得られるために注目されているが,運動時間が短縮されていない。一方で,運動および休息を反復するレペティション運動(RE)が,動脈機能に対して十分な効果を得ることができれば,運動時間の短縮に繋がる可能性がある。そこで,本研究は,CEよりも仕事量を減少させた一過性のREが動脈機能に及ぼす影響について検討した。</p><p></p><p></p><p>【方法】被験者(n=8)は健康な成人男性であり,15分間の安静後,自転車エルゴメーターを用いて,50% peak power output(Wmax)強度で,20分間の定常負荷運動を実施する条件(CE条件)および100%Wmax強度で,20秒間の高強度運動と40秒間の休息を20回反復する条件(RE条件)をそれぞれ7日以上の間隔を開けて実施した。運動前(pre),運動終了後30分(post 30)および60分(post 60)に血流依存性血管拡張反応(FMD),収縮期,拡張期血圧および心拍数を測定した。一過性運動後の効果を検討するために,両条件間の比較には,対応のあるt検定,各測定項目の運動前後の経時変化は,反復測定による二元配置分散分析を行い,事後検定には,Bonferroni法をそれぞれ用いた。統計処理はSPSS ver24.0を使用し,有意水準5%をもって統計学的有意とした。</p><p></p><p></p><p>【結果】pre,post 30およびpost 60のFMDは,CE条件で6.9±1.3%,7.2±1.1%,および7.0±1.2%,RE条件で6.8±1.7%,9.4±3.2%および7.1±1.9%であった。両条件ともにpreと比較して,post 30にFMDは増加,post 60はpreと同程度まで低下し,post 30では,条件間で有意差が認められた(P<0.05)。このように運動終了後のFMDが増加した原因は,血流が増加したことでずり応力が亢進し,内皮由来型一酸化窒素(NO)合成酵素を活性化させ,NOの生物学的利用能が向上し,血管平滑筋が弛緩したためであると考えられる。さらにpost30のFMDについて両条件間で有意な差が生じた原因は,発生したNOの量的違いが影響していることが推測される。</p><p></p><p>【結論】CE条件より総仕事量を低下させた一過性のRE条件において,運動後のFMDが増加することが示された。高強度運動であるREは,低体力者にはリスクの高い運動ではあるが,健常者の動脈硬化を予防/改善を目的としたトレーニング方法として,CEと同様に有効である可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205578241024
  • NII論文ID
    130005609547
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.1535
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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