片脚着地動作における胸郭柔軟性と衝撃吸収能の関係

DOI
  • 岩本 博行
    福岡リハビリテーション専門学校理学療法学科
  • 永松 隆
    福岡リハビリテーション専門学校理学療法学科
  • 藤原 賢吾
    福岡リハビリテーション専門学校理学療法学科
  • 池田 幸広
    福岡リハビリテーション専門学校理学療法学科
  • 中山 彰一
    福岡リハビリテーション専門学校理学療法学科

書誌事項

タイトル別名
  • 床反力計による検討

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>地球上の重力下にて歩行を可能とするためには,足部接地時の床反力の衝撃を身体で吸収しなければならない。第51回学術大会にて,片脚着地動作時の衝撃吸収能は体重支持指数(WBI)が高い程,脊柱弯曲角度を増強させ,最大床反力が小さく,最大床反力出現時間までが長いことを報告した。質量が大きい部位での衝撃吸収の割合は大きいと言われており,体幹は体重の約48%の質量を持っている。体幹は胸郭ユニットと腰椎-骨盤ユニットからなり,拘束性換気障害などで胸郭の柔軟性が低下している場合も少なくない。よって今回,胸郭の柔軟性と衝撃吸収能の関係について,通常時と胸郭固定時での片脚着地動作時の床反力データを比較検討した。</p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は身体機能に問題のない健常成人男性19名(平均年齢21.4±0.6歳,平均身長168.7±4.9cm,平均体重60.9±8.5kg)とした。胸郭固定には非伸縮性包帯を用いて腋窩下縁から第10肋骨までを巻いて固定した。胸郭の柔軟性低下の度合いをスパイロメーター(日本光電社製)にて計測し,通常時の%肺活量(以下,%VC)より固定時が30%以上低下しているのを確認して着地動作を施行した。着地動作方法は40 cm台に片脚で立ち,開眼にて直前にある床反力計(AMTI社製)に片脚で着地するように指示し,両下肢とも測定した。床反力の記録を開始した時を接地時,床反力が最大となる時を最大時,床反力が体重の値に戻る時を抜重時とした。最大時の床反力最大値(以下,最大値),接地時から最大時までの時間(以下,最大時間)と最大時から抜重時までの時間(以下,抜重時間)を計測した。統計処理にはSPSS version 17.0を用いた。統計学的解析は通常時と固定時の最大値,抜重時間をWilcoxonの符号付き順位検定,%VC,最大時間を対応のあるT検定を用い,有意水準は5%未満とした。</p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>各項目の平均は%VC(通常107.3±10.9%,固定64.8±10.0%)最大値(通常2972.3±415.2N,固定3038.0±352.5 N),最大時間(通常49.76.9±7.4ms,固定47.9±8.1ms),抜重時間(通常334.4±122.3ms,固定343.9±127.3ms)であった。%VC(p<0.01),最大値(p<0.05),最大時間(p<0.01)に有意差を認め,抜重時間には認めなかった。</p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>福留らは衝撃吸収能が優れているのは最大床反力が小さく,接地から最大床反力に到る時間が長いと述べている。本研究の結果,胸郭の柔軟性低下による最大値増加,最大時間の短縮は,衝撃吸収能の低下をもたらし,身体への負荷の増加が考えられる。また,抜重時間に有意差がなかったことから,床反力の身体への負荷は最大値と最大時間の影響が大きいと考えられる。これは,福留らの研究を支持する形となった。よって,身体各部への床反力の負荷減少には胸郭の柔軟性が必要であると思われる。しかし,今回は最大床反力値であり,どの部位での負荷が増大しているかが今後の検討課題である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205578470784
  • NII論文ID
    130005608394
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.0400
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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